始 ま り は 此 方
終 わ り は 彼 方
出 た 目 の 数 だ け 血 に 染 め て
進 ん だ 数 だ け 狂 っ て く
サ ア 遊 ビ マ シ ョ ウ ?
命 ヲ 懸 ケ テ
「なにが・・・どうなっているんだ・・・」
「部長」
「越前か?」
「とりあえず、他の人等起こした方が良くないっすか」
「そうだな」
暗く冷たい床の感触。
さっきまで、バスに揺られて騒いでいた筈なのに・・・・
全国大会も終わり、ジュニア選抜も終わり、
3年も引退した事だし、娯楽としてテニスをしよう。
そう言い出してきた顧問のスミレ。
みな喜んで、どれだけこの日を待ち侘びただろう。
「手塚、大丈夫か?」
「跡部?真田は」
「なんとも無い」
物音がする。きっと、気付いて起き出しているのだろう。
彼等が最後に見たのは・・・・・なんだった?
コツコツと足音がする。
それとほぼ同時に、部屋に明かりが灯された。
自分達がいたのは、広い体育館らしい。
「御機嫌よう。気分はどうかな?」
「誰だお前」
「私は政府の人間だよ。まあ、身分はかなり低いがね?」
「ここは何処なんだよ!!」
ぱんっ
乾いた音が響き渡る。
立ち上る白い煙。
それはまるで、死のプレリュード。
「少し静かにして貰えるかな?時間があまり無いのでね?」
開いた口が塞がらぬ面々。
床に開いた黒い穴。
既に把握できている状況。
信じられない、信じたくない。
だがこれは、紛れもない事実。
「BR法は知っているね?君たちは幸運な事に、それに選ばれたんだよ」
「幸運・・・だと?」
「選ばれし兵隊達。面白く踊ってくれよ?
まあ、説明は私からするよりも、君からして貰った方が良さそうだね?」
「?」
「ちゃん・・・・」
青学のマネージャー。
頭が良くて、頑なで、クールで・・・・でも、自分達にとって大きな存在。
光を失った瞳。
ゆらりと立ち上がったは、周囲を見渡して、重い口を開いた。
「BR法。一言で言えば、大きなゲームボードの上での殺し合い。
ルールはなし。とりあえず殺せば、それでイイ」
「ちょっちょっと待って下さい!!どうしてさんが・・・・」
「はね、前回の優勝者なんだよ。今回も、進んで我々のコマになってくれた」
「そんな・・・・」
「が・・・・」
「どうして・・・・」
ずっと、ずっと、共に夢を追いかけてきた。
物静かで、人とあまり関わりたがらない彼女をマネージャーにするのに苦労した。
それから、名前を呼んでもらって、少しずつ打ち解けていた・・・筈だったのに。
目の前にいる彼女はどうだろう。
「私達はコマ。このゲームはお偉いさん方の暇つぶし。
最後に生き残ったコマに賭けていた人に、多額のお金が与えられる。
勿論、私達の顧問の先生も、賭ける側」
淡々と述べられた言の葉は、意図も簡単に耳を素通りしていく。
そんな彼らを無視して進んでいく行く説明は、
禁止区域・首輪・武器・支給品・死者を告げる放送・優勝者・・・・。
誰も口を開くものはいなかった。
漏れている言葉達が、あまりにも非現実的で。
「それでは、1人ずつ出て行ってもらう」
「1番、跡部・・・・2番・・・・」
次々と呼ばれていく、同じ夢を目指していた仲間の名前。
また一人、また一人と、投げつけられたバッグを抱えて、姿を消していく。
最後まで残っていたのは青学のメンバー。
「君たちには、竜崎先生からメッセージを頂いているよ」
パラリとポケットから取り出した紙切れ。
淡々とした口調で読み出す男。
「期待しているらしいね」
「クソ婆」
「どうしてこんなことに・・・・」
「どうしたもこうしたも、コレが現実。受け入れられない人が死んでいく」
「ちゃん・・・・・君は・・・・」
「不二君?それ以上の発言は禁止する。さ、君たちが出る番だ」
乾がバックを受け取ろうとした時、外で乾いた音が響いた。
聞き間違えようが無い。銃声。
「ほう、今年は豊作だね。楽しめそうだよ」
皆の頭には、コレしかなかった。
誰かが、ノっている。
最後まで残ったは、
ゆっくりと腰を上げ、デイバックを受け取り、振り返りもせず、
死への扉をくぐり抜けた。
「今回も期待しているよ」
「・・・・・・・・・・・・・・」
扉を出て、向かった先は保健室。
医療用具を盗むため。
始まるのは何劇か。
ゲームはまだ、始まったばかりだ。
永眠者零名。
覚醒者壱名。