「とりあえず用意したのは、防弾チョッキと、M26。トランシーバーに、催眠ガス」

「他に何か居るもんあるか?」

「銃はその子その子の好みがあるから、一応持ってこなかったわ」

「ドライバーが一式欲しいな。あと、煙幕弾と酸素ボンベ。あ、医療具も」

「医療具は絶対だろ」




辺りもすっかり明るくなって、朝食も済ませた。

今喋っているのは6人。

他の9人のメンバーは話についていけないのだ。

武器の名前が挙げられていくが、半分も理解できない。




「ちゃん?あの・・・・」

「えっと、何か判らない事ありました?」

「いや・・・・判った部分のほうが少ないんだけど」

「銃の名前は覚えなくて結構です。それを除いて判らなかった事は?」

「M26ってなに?」

「手榴弾の名称ですよ。一番良く使われているタイプなんです」

「?誰かノートPC持ってない?」

「あると思う?」

「ないだろうね」

「でしょう」




その時、あがった叫びにも似た声。

それはあまりにも大きくて、皆は一瞬止まってしまった。

その声の発信源は。




「ゆっ幸村さん?どうかしましたか?」

「持ってる・・・・・」

「へ?」

「ノートPCだよ!!」

「え?あ・・・・」




自分のディバックの中をあさり出した幸村。

お目当ての物は直ぐに見つかったようで、数秒としない内にこちらに戻ってきた。

だが、こんな所にコンセントはない。

バッテリーも当の昔に切れていて、電源がつかなければ只の鉄の塊だ。




「使えねぇ〜〜〜」

「あらどうして?」

「コンセントも電池もココにはないじゃん」

「そんなもの必要ないですよ」

「そうだね。?あれあるかな?」

「半分壊れてるけど・・・・」

「半分で十分だよ」




から翔平に渡されたのはドライバー一式。

あのBRで使っていたもの同じ。

翔平がそれを使ってノートPCをいじりだしてから、数分。

デスクトップには、しっかりと画像が映し出されていた。




「銃はどうしようか・・・・・まだ初心者ばっかりだから」

「とりあえずお前はイングラムM11だろ?裕也がF&Wで、オレはレミントンPSS」

「500マグナム・カスタムにしてくれ」

「私はバレットM82A1がイイわ。外に出て応戦するのは好かないし」

「沙耶姉どうするの?」

「私はルガーMK�U。使い慣れてるの」

「翔平は適当に地雷だろ?」

「適当じゃないよ。ちゃんと性能の違いって言うのがあるんだから」

「M18対人指向性地雷でしょ?」

「良く判ったね」

「伊達に政府の金蔓やってないから」



「6人分だけ先に盗っちゃう?」

「一気の方が手間省けんじゃねぇか?それに、こいつ等練習用にも必要だろ」

「ベレッタ92FSタクティカルがイイんじゃないかしら。
性能もまあまあだし、衝撃も強すぎず弱すぎず。彼らにはもってこいよ?」

「それじゃあそれ9個ね」




PCに向かってキーボードを打つ。

まるで使い慣れたゲームのような素早さ。




「んじゃあ、私と・・・・誰かで盗りに行かなきゃ」

「私が行きましょう。他の人たちは扱い方でも訓えてあげて」

「何をしたんだ?」

「政府の密輸入リストを操作して、
ある所に欲しいだけの銃を届けるように書き換えたんです」

「そんな事出来るのかよ」

「簡単ですよ」




簡単じゃねえと全員が突っ込みを入れたところだろう。

これが彼女の本来の姿なのだろうか?

信じたくない反面、その彼女に助けられているのは明確で。

出て行くの後姿が、他人のように見えて仕方なかった。




「弾はあそこに入ってる」

「あいよ」








あれから1週間。

と沙耶はまだ戻ってきていない。

BRの時に配布された銃を使って、9人は鍛え上げられていた。

元々運動神経が良いのと、覚えが良いのが重なって、

10発中半分は的に当てられるようになった。




「手塚・・・だっけか?お前筋イイね。越前と忍足は元々打てたし」

「教え概があって楽しそうだね。紫董」

「こんだけ上達してくれりゃあな。楽しくもなるって」

「そろそろお昼にしない?こっちも一段落したところよ」

「そっちはどうだった?」

「英二君とブン太君が飛び抜けね。その少し後方をジロー君が追ってるって感じかしら」




それぞれの得意分野を生かし、なんとか戦力に持ち込もうとしている勝者達。

自分達の復讐を、自分達の手で下す。

それだけを力に頑張ってきてる9人にも、それなりの成果は出てきている。




「おい、終ったら帰って来い」

「僕等のところがさっき終ったんだ。裕也もそんなに考え込んでたら剥るよ」

「うっ煩い!!で、戦力になりそうなのか」

「すごいぜ!」




手塚・越前・忍足はショットガン。

菊丸・丸井・芥川は武術。

不二・柳生・幸村はトラップ。

トラップは無理でも、銃が撃てる。

銃が無理でも、武術が長けている。

武術は苦手でも、頭は使える。




「が帰ってきたら喜ぶわね」

「だな」

「お前等には礼を言う」

「お礼言わなきゃならないのはこっち。なんでお礼言われなきゃなんないの」

「判ってないね」

「が笑った所なんて、私達でも数えるくらいしか見た事ないのよ」

「それが、毎日のように笑ってんだもんな」

「君達が、に笑顔をくれたんだよ?」




俺たちも見た事なかった。

笑ってくれたんだ。あの時。

嬉しかったのは・・・・自分。




「からメールが入って昼過ぎには着くらしい」

「だったら、歓迎会の準備と行こうぜ!」

「あぁ、お風呂に入りたいわ」

「シャワーならあるじゃねぇか」

「肩まで湯船につかりたい乙女の心情を察知してないのね」

「誰が乙女だって?」




巻き起こる笑い。

自然じゃなかった。ずっとずっと緊張してた。

今は大丈夫。素直に笑える。

だって自分達は生きているから。

人形じゃ、ないから。