「なんや無駄に疲れたわ」

ちゃん!!たっだいまぁ♪」

「ジロ先輩。重いですよ」




本拠地に帰ってきた両チーム。

迎えてくれたのは・・・・・・・・・・仲間。

心のそこから信じることの出来る。




「で、。これからどうする気?」

「生首なんて、放っておいたら腐ってしまうしね」

「大丈夫だよ。今日中に贈ってしまうから」

「政府に?」

「ええ。もう、幕は開けているんですから」




そう言ったは、武器庫と証する物置へと入っていた。

既に用意していた箱。

氷を詰め込み、そこに今日とってきた首を二つ詰め込む。

顔色一つ変えずに。

だが、それを囲む人の中からも、嗚咽など聞こえてこない。

聞こえるのは、息遣いだけ。




「これでラッピングは完璧ですよ」

「どうやって送るんだよ。こんなの」

「届けに行くんですよ。私たちの手で」

「どうゆう意味ですか」

「ヘリで落としてきますんで」

「えっ?でっ・・・ってちゃん!!」




彼等の返答など聞いていない

箱を抱えて、スタスタと屋上へと進む。

その後ろで呆然と立ち尽くしていた14人・・・・いや、9人。

が梯子の上に消えると、歴代の勝者達は各々が寛いでいる定位置へと移動した。

その行動に、あんぐりと口を開けることしか出来ない。




「追いかけないんですか!!」

「今更だしなぁ?」

「行っても無駄よ。銃を突きつけられて追い返されるのがオチ」

「まぁ、時間を無駄に使いたくもないしね」

「お前等も、射撃の練習しとけ」

「っ!!そやかて、一人やったら危ないやないか!!」

ちゃんは女の子なんだよ!!」




次々と出てくる言の葉達。

それを制したのは、沙耶の冷たい目線だった。

9人を射抜く、獣の瞳。

物静かで、優勝した事など間違いだったと思っていた9人の考えは一掃された。

そんな眼差し。




「私は、彼女との付き合いが一番長い」

「だっだからなんだって言うんすか!!」

「私は、あの子が政府に連れてこられた時の姿を知っているわ」

「そんな事関係な・・」

「少し黙ってくれる?あの子のあの、真っ黒な瞳。
最初に人を殺した時には、何も感じない人形。誰も寄せ付けない気。恐ろしかった。
この子は人間じゃない。そう感じた。あの子があの眼をする時は、誰も近づけないのよ」




下手すれば、こちらが殺されてしまうくらい。

シンッとなった3階に、ヘリのプロペラ音が遠ざかって行くのが聞こえていた。







「ご退院おめでとうございます」

「ボクのは何処?」

「はっ、元・訓練所に立て篭もって居ましたが、
今日、竜崎スミレと、榊太郎を殺し、政府反逆と・・」

何処に居るの?」

「っ!!こっ孤島の訓練所です!!」




冷たい廊下に並んだ迷彩服。

その間を通る、真っ紅なシャツを着た青年。



の実の兄であり、BR法のトップに君臨する・・・・・狂人。

を溺愛し、深い傷を刻み付けた張本人。

そして1年前、がかなりの数の銃弾を打ち込み、帰らぬ筈の人物。




「僕のは誰に誑かされたの?」

「いえ。NO.002の意思で・・」

は僕に忠実だった。きっとアイツだ。アイツが誑かしたからだ!!」

「お言葉ですがトップ、NO.002は自分の・・」




ぱあんっ




「お前にの何が判るのかな」




転がった死体。

首を貫通した弾は、そのまま壁にのめり込んでいる。

先刻まで喋っていた口は、開いたまま塞がらない。

首筋から流れた血で軍服はキレイニ染まり、白い床には鮮やかな血溜りが出来ていた。




「トップ!トップ!!」

「今度は何?僕は忙しいんだ」

「そっ外にこんなものが!!」




走り込んできた一人の隊員の腕には、綺麗に放送された包み。

死体は踏まれ、ぐちゃぐちゃになっていた。

ココでは、これが日常茶飯事。

いちいち気にかけている暇などない。

次は自分が殺されるかもしれないのだから。



だが、忠実にしていれば約束される地位。

求めてしまうヒトの性。




「なにこれ?」

「判りません!ですが、裏にこれが・・・」

「?・・・・・・!!!」




裏に書かれていたのは綺麗な、




血文字。




お誕生日おめでとう。 FROM:No,002




血文字なんて気にならない。

の誕生日を知っているのは、この世でたった一人。

そう、最愛の妹だけ。




!!やっぱり僕のことを忘れられな・・・・これ、誰・・・」




中に入っていたのは、今日殺された二人の顧問の顔。

どちらの瞳も見開かれていて、口は大きく開かれたまま。

何と滑稽で、醜い姿だろう。

は、持っていた銃を乱射した。

床には沢山の焦げ後。

ただの肉片となった2人。

その肉片すら汚物のように、は嫌悪を露にした瞳で見詰める。

はそのまま踵を返し、特別室と書かれた部屋の扉を開けた。




「トップ・・・・あの・・」

「静かにしてくれる?」




その部屋は、一面スクリーンで埋め尽くされ、真ん中にマイクが置いてある。

明らかに一部の人間しか入れないであろうその部屋。

真ん中にあったマイクのスイッチをつけ、

音量を調節したは、ゆっくりとしかしハッキリと唇を動かした。




第21回のBRメンバー決定








「帰ってきたな」

「あぁ」




あれから、会話の一つもなかった本拠地に、プロペラの音が返ってきた。

それは、の帰還を意味する。




「ただいま」

『おかえり』

「・・・・・・・・っく・・・あはははははは!」

「笑うことはないだろう」

「だっだって、部長?あんなに綺麗にはもって!!」

「みんな、のことが心配だったみたいよ?」

「・・・・あ・・・スミマセン」




梯子から降りてきたを、綺麗にはもった14人の声が向かえる。

ついさっき、政府に喧嘩を売ってきたとは思えぬ笑顔。

ほっと一息を下ろしたのは言うまでもない。

だが、そんな空気が一変する。

それは、を取り巻く、ぴりぴりした空気。




「後は、待つだけですね」




引き金に指をかけて、が呟いた。