打ったのは同時。
当たったのは?
「あっ・・・・・うあっ・・・・」
「(ちゃん、落ち着くんや。本来の目的、思い出してくれ)」
忍足のベレッタM84Fから放たれた弾は、見事、のワルサー・PPKに命中。
震える手。あれで打っていたら、どうなっていただろう。
2人の首は数秒とせずカウントを告げ、
真っ紅に染まっていただろう。
「・・・・・・・・(落ち着け。大丈夫。私は)」
正気を取り戻したは、もう一度、イングラムM11を構えた。
響き渡った2つの銃声と、爆発音。
「大丈夫ですか?」
「てっめ!!よくも切原を!!」
「止めなさい丸井君。彼女は私達を助けてくれたんですよ」
「裏切り。きっと、彼方達の前の人も、同じ手にかかったんでしょうね」
「なんで判るんだよ」
「抵抗したなら、もう少し血がついていてもおかしくない」
が首輪を壊したのを見計らって、森から出てきた5人。
一番最初にに駆けつけたのは、他と比べて小さな身体。
「リョーマ?痛い」
「まじで、が死ぬかと思った」
「まだ死なない。私はまだ・・・・死ねない」
「とりあえず、今の爆発で中のカメラは壊れたと思います。もう、音がしませんから」
「ほな、中に入ろか」
やって来たのは倉庫。
武器が無いか確かめにという目的も合ったのだが、
一番人が近寄らない場所だと、が言った。
一見、倉庫といえば何かしら人がやって来る所のようだが、ココでは違う。
ココは戦場。倉庫などには眼もくれず、一目散に海へ身を投げる輩しか来ない。
もしくは、緊急事態の時に特殊部隊が動き、船を止め、駆け足で血の海に身を投じるか。
そのどちらかしかないのだ。
「さっき、忍足さんを助けた時に皆さんも見たと思いますが」
「特殊部隊・・・・」
「私が出た中で、特殊部隊が出てきたのは全ての回です」
「へ??全部??」
「殺し合いが面白くなくなったお偉いさん方が、送り込むのが99%」
「そういう、世界なんだな」
「残りの1%は、私が負けそうになった時」
私は、優秀な彼等の狗ですから。
手放したくないんでしょう。
と、震える唇から放たれる言の葉。
「どう転んでも、私を優勝させたいんですよ」
「だからあの時、確信を持って、自分が優勝するって言ったんだね」
「柳生さん、丸井さん、大丈夫ですか?」
「何とか理解は出来ています」
「全然判んねぇ・・・・判んねぇけど、こっから出られる事だけは判った」
「後残っているのは、幸村さん、柳さん、芥川さん、滝さんの3人です。
少なからず1人は絶対にのっています。これは予想でも何でもない。確信ですから」
「なんでそんな事が判んのさ」
「武器の数ですよ。残った武器の数が1つ多い。誰かが奪っている証拠です」
「そう・・・・か」
名簿を広げてが言う。
斜線と丸印の数が増え、残りの人数が少ない事を示す。
口数が少ないのは、先程の戦いの所為。
二度も、人間が吹き飛ぶところを見たのだ。
正常なほうがおかしい。
そう、はオカシイ。
「ところで・・・」
「俺らの武器だろ?」
「そうで・・・す」
「俺はスタンガン」
「私は探知機です」
「探知機!!どうしてそれを早く言わないんですか!!貸して下さい!!」
いきなり叫んだに、鞄の中から探知機を取り出し、渡した柳生。
どうしてそんなに慌てているのか。
おかしくない彼らには判らない。
「!!!!!」
「ちょっちょっとちゃん?」
「皆さんはここで待ってて下さい」
「さっきの戦闘で凄い疲れてるじゃない!!もう少し休まないと!!」
「いつ禁止区域になるか・・」
『は〜〜い。なんだか直ぐに終わって面白くないそうよ?
もう少し足掻いて欲しかったけど、しょうがないか。とりあえず死んだ人言うわね。
1番・跡部クン。4番・忍足クン。5番・樺地クン。10番・切原クン。
12番・ジャッカルクン。14番・丸井クン。15番・柳生クン。16番・柳クン』
の言葉を遮って、流れ出した放送。
直ぐに名簿を広げてメモを取っているところが流石場慣れしている。
それを見習い書き出した数名。
『禁止区域だけど、なんかめんどくさいから、2時間後に全部禁止区域だって。
それまで足掻いてね?残り4人には頑張って欲しいわ。期待してるわよ?』
皆唖然とするしかなかった。
2時間後に、全てが終わる。
「柳・・・・も?」
「1人減ったのは好都合です」
「っ!!」
「それじゃ、ここで待っていて下さいね。リョーマもココにいて」
何か叫びそうな丸井を無視して、
自分の武器と探知機、トランシーバーを鞄の中に詰め込んだ。
船を飛び出すと、全速力で走った。
D-1。禁止区域に囲まれたそこにある、黒い丸を目指して。
1つのエリアを移動するのに、約30分かかる。
急がなければ。
それから45分後。
はD-1にいた。
捜し物はもう、直ぐそこまで来ている。
なのに、それなのに、
後残り2つの点が、1エリアを挟んで、同じ方向へ移動している。
ココにいるのは、のっていない人間だと確信しているにとって、最悪の事態。
あの2つが対峙した時。
それがゲームの終わりをしめす。
はさらにスピードを上げた。
「やっと、見つけた・・・・・」
「????」
何かを喋っている暇など無い。
今すぐ首輪をはずして向こうに行けば、何とか間に合う。
ガシャンっ
音を立てて落ちたそれ。
それを隣の区域に投げ入れ爆発させて、ぼうっとしている当事者に話しかけた。
「良く聞いて下さいね?1時間ほどでココに戻ってきます。
幸い、カメラは周りにありません。ココにいて下さい。絶対動かないで下さいね」
「跡部は死んだ。みんな死んだ。だから俺も死ぬんだ」
「死にはしません。死なせません。私を信じて待っていて下さい」
「・・・ちゃん」
「大丈夫ですよ。忍足先輩は生きてます。待っていて下さいね!!」
あとは、ジロー次第。
自分を信じてくれるか、否か。
初めて使った信じるという言葉。
重い言葉。でも、今のに、一番必要な言葉だ。
「お願い。間に合って・・・」
またも全力疾走。
後ほんの15分足らずで出会ってしまう。
走れば間に合う。
港近くの、倉庫を目指して・・・そこが、最終ラウンドの舞台。
永眠者弐拾参名。
内、覚醒者八名。
彷徨者参名。
内、覚醒者壱名。