「きょうはなにがたべたい?」
「は何が食べたいんだ?」
今日も今日とて、市場に物色に来た2人。
我先にと、
自らの店の商品を差し出す商人だらけだ。
「ねえあそこ、すごいひとだかり」
「トラブルメーカーでもいるんだろう。近づかない方が良い」
「(同感だな)」
己の危険察知センサーがそう言っている。
あそこに近づくととんでも無いことになると。
けれども、
此処であの方と出会わなければ、
お話しが進まないので、
仕方がないから、出会って貰うこととしよう。
燃えるような赤い髪で、
空色のアラブ衣裳を着こなした姫に。
「あ、そこのお前!」
「・・・・・・・・・」
「オレ、此処初めてでな。案内してくんねえか?」
「おじさん、だれ?(女装キモイ女装キモイ女装キモイ)」
「・・・・・・・・・お前、名前は?」
「おれ?おれは。こっちはベック。しんゆうだよ」
がしいっっっ!!!
「を離せ。変態」
「可愛い!!可愛すぎるぞ!!!」
「ベック・・たす・・け・・(死ぬ!香水の匂いで死ぬ!!)」
「お前を婿に取ると決め・・ぐはっ!!」
「帰るぞ。今見たことも忘れような?」
「うん。ぜんぶしょうきょする」
「良い子だ」
いきなり鼻血を吹いて抱き付いてきた、
身なりと見た目はまあまあの変態に、
強烈なアッパーをお見舞いしたお猿、基、ベックマンは、
触れられたであろう所を思いっきりはたき、
を連れて逃走した。
「それにしてもあのひと、なんだったんだろうね」
「変態だ。覚えたか?あれが変態だ」
「うん。おぼえた(忘れたい。すげえ忘れたいけど)」
訥々と、言い聞かせつつ、
最後に聞こえた婿に取るという、おぞましい単語が、
耳について離れない。
は嫁に決まっているだろう
「きょうもきれいだね」
「宮殿か?」
「ここからのけしき、おれ、いちばんすき」
「そうか」
そんな景色を見ているは、
とてつもなく大人な顔で。
自分も吃驚させられるくらい。
そんな夕日に輝くに見取れていた所為か、
近づいてくる人の気配に気付かなかった。
「邪魔するぜ」
「悪いな。急に」
まあまあ、害はなさそうだ。
「あんたがか?」
「そうだよ」
「またえらい可愛いな」
「だけどこの子だけなんだろう?」
「そうだ。託すしかない」
「誰だお前等」
黒ずくめの変な杖を持った、デブが一人。
鳥の羽で全身を埋め尽くした、ガンマンが一人。
「王宮仕えのもんなんだが」
「そんなお偉い様が何のようだ」
「其処の可愛らしい子に御願いがあってな」
「おれに?」
「そう。お前にしかできない」
「なに?」
「魔法のランプを取ってきて欲しい」