王宮の門を前に、
ごくりと、生唾を飲む音が3人分響いた。
「、気をしっかり持て」
「うん」
「気に病むことは何一つ無い」
「うん」
心許ないかも知れない、
ただ今は縋るモノが其れしかないから、
は2人の言葉に元気よく返事をして、
王宮の門を叩いた。
「ごめんくださ・・ぶっ!」
「!!!!」
「貴様、の顔に傷を付けた罪は重いぞ」
「すっっっっっすみませんでしたぁぁぁぁ!!!!」
とりあえず、ランプの精の殺気で逃げていった、
門番Aは放って置いて、ぶつけた鼻をさする。
「大丈夫か?傷ものに・・・」
「だいじょうぶだよ」
「そこにいんの・・・・・か?」
「ルウ」
「ランプを取ってきてくれたのか!!」
「うん。外に出っぱなしだけどね」
有り難うと、涙を流して土下座する2人を見ていると、
怒る気も失せてしまうのは、
変態の被害を知っているからで。
「とりあえず、王女と仲良くなってみてはくれんか?」
「王・・・・」
「(苦労してんだな・・・・・)」
「此処に空飛ぶ絨毯を用意しておいた」
「此処だけ原作に忠実なのか?」
ふわふわと飛ぶ、本当に只の絨毯をさわりながら、
少しばかり可愛いとか想ってしまった自分。
癒しを求めてしまうのは、仕方のないことだと思うのだ。
「アラバスタの鳥に声をかけたんじゃが・・・・」
「?」
「忙しいらしくてな」
「あそこ、復興中らしいぞ」
「そうか。なら仕方ない」
「それじゃあ、王女、さそってくるね」
「気を付けろ、十分に気を付けろ」
「ベック・・・・」
不安なのか、震えるを、
このまま狼の前に差し出すのは気が引けるが、
致し方ない。
陰から銃を構えておいてやるからな。
みんなの不安そうな瞳に見送られ、
は絨毯に乗って、王女の部屋へと降り立った。
「ねえ」
「おお!!じゃねえか!!どうした?俺が恋しくなったか?」
「(こんな妄想癖な王女イヤだ・・・・)」
「珍しいもん持ってんな」
「じゃっじゃあ、のってみる?」
その時点で逃げれば良かった。
やっぱり仲良くなんて無理だったんだ。
絨毯、ゴメンね。
煌びやかすぎる笑顔に、
うっと詰まって身を引けば、
ひょいっと身軽に乗り込んで来やがって。
「愛の逃避行だ!」
「いやだぁぁぁぁ!!!!」
絨毯もなす術無しと、従うしかあるまい。
その後、存分に空の散歩(拉致)を楽しんでいる王女に、
何処からか飛んできたびーびー弾がヒットし、
危うく別の国に連れて行かれそうなところを、
助けられた、とか。