巡り巡る季節は、
暦をも狂わせて、
はてさて、この、金眼の鷹と海に出てから、
一体どれほどの月日が流れただろう。
今日がその日だと気付いたのは、
珍しくも街が、ピンク一色に染まっていたからだ。
「ミホーク、早く帰りたいって顔してる」
「分かっているなら早くしろ」
「スーパー、寄らせて?」
の頼みを、ミホークが断るはずもなく、
また腕に腕を絡めて、
街へと赴いた。
「何を笑う」
「ううん。なんか、ミホークが籠持ってると、面白いなって」
「似合うつもりもない」
「だろうね。でも、あたしはミホークと買い物できて嬉しいよ?」
そう言われれば、機嫌も上々。
「、先程から甘味しか見ないぞ?」
「うん。ちょっとね。ミホーク、夜は何が食べたい?」
「主の作る物なら何でも」
「それが一番困るんだってば」
なんて、考えるのも楽しみになるくらい、
このやりとりを繰り返してきているのだけれども。
とりあえず、必要な物を揃えた2人は、
また、腕を組んで、
鷹の船へと戻っていった。
「ミホーク。ご飯出来たよ」
「うむ」
「はい」
「・・・・・・今日はどうした?」
「何が?」
「いつもは酒を止めるだろう?」
「アルコール飲んでるって自覚あったんだ?
いつもは水だ水だって言ってる癖に」
「む・・・」
「際限なく飲まないなら良いよ。
微量のお酒は薬にも使われてるって言うし、
何より、ミホークが、お酒飲むの好きだしね」
その微笑みはもう、
自分の航海になくてはならないもので。
のそれが、此処にあると分かっているから、
帰ってくることが出来る。
「豪勢だな」
「うん」
今日は、どちらの誕生日でも、記念日でもない筈。
それがどうしたことだろう。
机の上に並ぶ、の手料理は、
それはそれは、色鮮やかに鎮座していて。
食欲を増幅させる物ではあるので、
疑問を持ちつつも箸は動くのだが。
「ミホーク?」
「なんだ」
「大好きだよ」
「知っている」
「うん。だからね、はい」
そう言って渡されたのは、
自分の掌に収まりきるくらいのガトーショコラ。
「私のいた国ではね、今日は、
好きな男の人にチョコレート渡して告白する日」
にっこりと笑って。
知っているとは言ったものの、
やはり年の離れすぎている彼女といると、
今まで少しも感じなかった、不安、
を感じてしまうもので。
限りある時間を、これからはずっと、
と過ごしたいと思うくらい、もう、惹かれすぎているのに。
「だから、ちゃんと言わないとな。って」
「そうか」
「うん。ミホーク、大好き。ミホークは?」
向かいに座る彼女の顎に手を当てて、
引き寄せたと同時、掠めた唇。
徐々に深くなっていくそれに、
必死で応えるが、可愛くて仕方がない。
「足りぬか?」
「十分!」
いつもと同じ、食器洗いの時間。
いつもとは違う、愛の私語き。