次の日、は食事もとらず、
授業開始ぎりぎりで教室に入り、
授業終了と同時に教室を出るという生活をしていた。
ハリーが何か言いたそうな雰囲気なのは判っていたが、
今は聞く気になれなかった。
そんな状態は、次の日も続き、
窓の外から聞こえる歓声を聞き流す事しか出来ず。
ドラゴンの怒りも、今はどうでも良かった。
いつもなら、校長に講義しに言っている筈だ。
「、ほれ、紅茶」
「ありがとう」
「見に行かねぇのか?」
「見てるわ」
「あいつ、グレンジャーとずっと呼び寄せ呪文の練習してたぜ」
「それは、良い作戦ね」
「・・・・・誰から聞いたと思う?」
「自分で考えたんでしょう?」
「違うぜ。ムーディが教えたんだ」
「ムーディ?」
誰だったかしらと一瞬思った自分を叱咤した。
今学期最初から、胡散臭すぎて自分が追っていた者ではないか。
「どうして?」
「オレが知るかよ。ただ、この大会の中で殺したいんじゃないって事だけは確かだ」
「妙だわ」
「頭が回ってきたか?」
「ごめんなさい。迷惑かけたわね」
「珍しい事じゃないだろ?」
「言うようになったじゃない?」
ただ、そう、大切なんだ。
リリーでもジェームズでもなく、自分が。
ファイアボルトをうならせて、
ドラゴンを撹乱しようとしているハリーを、微笑ましげに眺めた。
その視線を移動すれば、
とても真剣にハリーを見やっているもう1人の姿が映る。
「少し、かまをかけてみてもよさそうだと思う?」
「どうだろうな。あいつの思惑が理解できねぇ」
「そうよね。今の状態は、殺すのに随分と・・・・・もしかしたら・・」
「どうした?」
「殺しちゃいけないのかもしれないわ」
「どうゆう意味だよ」
「ほら、前に言ったじゃない?魔物を呼び出すときの贄みたいなもの」
「・・・・・・・・・例えが悪い」
「そうかしら?」
きょとんっと、いつものような反応を示す主に、
大分と安心したのは、心の中だけにとどめておく。
「私の憶測は正しかったようね」
「だとしたら、ヴォルデモートのトコに連れて行かなきゃだな」
「そういうことになるわ。
最終課題が何なのか聞きだせるかしら・・・・・・・」
「真実薬を飲ませるとか」
「犯罪よ」
「とりあえず、褒めにいくとかわ?」
「ふふっ・・・そうね」
金色の卵を掲げて、とても嬉しそうに微笑んでいる君を、
珍しくも賞賛しようなんて思ったのは・・・・・。
階段を降りて外に出れば、一層大きくなる歓声。
点数が出たのだろうか。
ハリーの姿は見当たらない。
しばらくすれば、赤毛と共にやってきたのだけれど。
「おめでとう」
「!!やった!僕やったんだ!!」
「ええ。見事だったわ」
「何処で見てたの?」
「自室よ」
「そっか」
とてもとても嬉しそうに笑うハリーは、やはりまだ子供なんだなと思わされる。
ふっと微笑んだも、十分子供の顔だったが。
「ロナルド・ウィーズリーの頭の悪くなる病気は治ったわけ?」
「、お前やっぱ表現方法考えた方がいいって」
「治ったよ!!」
「あら?」
「お」
「随分遅かったけどね?」
「ハリー!!」
「でも、良いって言ったんだ」
「そう。良かったじゃない?」
「談話室、戻らなくていいのかよ」
「独り占めしているわけにも行かないわね」
一緒に行ってもいいのかしらと、
誰に問うたかなど明らかな質問をぽそり。
別にとふくれっつらをするロンに、
自分で気づけたことはすばらしいと思いながら、
そんな事は言わずにおいたのだけれど。
案の定、グリフィンドールの談話室はドンちゃん騒ぎの真っ最中で、
流石に耳を塞ぎたくなったは、
ハリー達に気付かれぬよう、入ってきたばかりの肖像画を後にした。
「凄まじいわね」
「そうだな」
自室に向けて歩を進めていれば、
かつんかつんと独特の音が廊下に響く。
ぴたりと進行をやめれば、どんどんと近づいてくる其れ。
は1つ溜息をつくと、くるりと向きを変えた。
「何か御用ですか?ムーディ先生?」
「校長にようがあるのでな」
「そうですか。それはかってな杞憂を申し訳ありませんね?」
すいっと道を譲る。
かつんかつんと廊下に響く足音。
後ろからその姿を睨みつける瞳は、
全てを見透かしているような、そんな、瞳。
「お前こそ、用があるのか?」
「いいえ?そうだわ、先生?」
「なんだ」
「この間、魔法史の授業で、統率者の親子愛の話をしていたんですけど」
「それがDADAの授業と何の関係がある?」
「授業とは別に?ただ、貴方の言葉を聞きたいだけよ」
ぴくりと震えたからだ。
こんな簡単に見せていいものなのか?
それとも、が其れほどまでの存在なのか。
「敬いを忘れたものに知の吸収は望めんな」
「そうね。見捨てたのはどちらかしら」
「さっさと談話室に戻れ」
今度こそ踵を返してガーゴイル像の中に消えたそいつを、
はずっと、見つめていた。
先に、見切りを付けたのは、どっち?