「!!」
「ああ。お早うハリー」
「教えて欲しい事があるんだ!!」
「何かしら?」
「水中で息を出来る方法!!」
談話室で読書をしていたを、
耳を押さえたくなるくらい大声で呼びやがったのは、
他でもないハリーで。
後ろでは、息も出来ないくらい疲れきった2人が、
膝に手を付いて一生懸命に酸素を吸おうとしていた。
「ボク、ずっと忘れてて、が・・」
「聞きに来なさいって言った事?」
「そう!!」
「どれ位自分達で捜したの?」
「ほとん・・・どっ!・・・図書館の本全部よ!!」
「それじゃあ、図書館に薬草学の本はなかったのね?」
「「「え?」」」
どうやらそろそろ息は整ってきたようで、
3人揃って間抜けな声を上げている。
「ヒントはあげたわよ?」
「答えを・・・・教えてくれるんじゃないの?」
「それ、とある人にも言われたけれど、私は答えを言わないわ」
「知ってるけど・・・・・」
今度は死ぬかもしれないのに・・・?
「ヴォルデモートから逃れるとき、私の教えた答えなんて無意味よ」
びくりと2人の身体がはねたのが判る。
だけど、本当にそうかもしれない。
去年も、一昨年も、学校で習ったものなんて、
ただの1度も・・・・守護霊呪文以外は、だが。
何処で何を使うか見極めるのは、自分。
「判った」
「そう良かったわ。それに」
「それに?」
「変なプライドを持たなければ、もっと早くにあの唄には気付けたでしょうしね?」
「どうして知ってるの?まさかも覗いたんじゃ・・」
「覗く?聞こえただけよ。代表選手の会話が」
「なんだ。てっきり僕の裸を見られたのかと思ったよ」
「寝言は寝て言いなさい」
後ろで真っ赤になった赤毛を、ずるずると引っ張って、
ありがとうと微笑んだハリーは、
ハーマイオニーと共に、もう一度図書館に戻ろうとして、振り返った。
「まだなにか?」
「そういえば伝えてなかったなって思って」
「何を?」
「の言う莫迦犬が、帰ってくるかもしれないの」
「そう。判ったわ。ありがとう」
場所なんか、聞かなくても判る。
それじゃあと言って、今度こそ図書館に向かう3人。
答えをせがむ前とは変わった彼等を、
少しばかり、褒めてやりたい気になった。
「少しくらい、助けてあげましょうかね」
第2の課題当日の早朝。
は、スネイプの研究室前でくるくると杖を弄びながら、
絶対に来ると確信している来客を待っていた。
どたどたと走る音が近づいてくる。
「・様!!」
「お早う。ドビー」
「ドビーめは・・・その・・・・」
「知っているわ。空いているから早く入りなさい」
「へ?」
「早くしないと、ハリーが棄権する事になるわよ?」
既に開いている扉を押して、中へと促す。
クスリ棚の魔法も解除しておいたから問題ない。
ぺこりとお辞儀して去っていくくりくり目玉の僕妖精は、
色々なところへぶつかりながら、
一生懸命に彼の元を目指して。
「?」
「あら、珍しい事にお早い目覚めね」
「何故、このようなところにいる」
「ちょっと欲しいものがあったから、勝手に取らせてもらったわ」
「魔法はどうした」
「私をなめてるの?」
「いや・・・・・」
自分のかけた魔法など、陳腐なものでしかないのだろう。
別に嫌味でもなんでもない。
ただの実力の差。
「欲しいものがあるなら取ってやる。次からは我輩に一言言え」
「はいはい」
「で、何を持ち出したのだ」
「鰓昆布少々」
「鰓昆布?」
しばし考え込むようにしていたスネイプは、
にこにこと笑って佇んでいるを見やり、
一気に思考がクリアになった。
「まさか・・・・」
「さて、そのまさかは競技場に行かないと判らないわよ?」
「何処へ行く気だ」
「素晴らしい洞察力は褒めるけれど、貴方に報告する義務はないわね?」
「知られたくないと取るぞ?」
「あら、いつから私達、全てをさらけ出せるような夫婦関係になったのかしら?」
「今がどうゆう時か判っているのか!?」
「印が濃くなっているんでしょう?だから?」
「!!」
ただそう。心配なだけなんだ。
幾度腕が痛んでも、一度も来やしなかったくせに。
少しくらい、頼ってくれてもいいのではと、思ってしまう。
「セブルス、貴方のすべき事は、これから競技場へ行って、
まさかを確かめる事と、生徒の安全を確保する事。私にかまけてる事じゃないわ」
眉間にしわを寄せて、を睨めど、
状況は全く変わらない。
彼女にとって自分は、ただの友でしかなくて、
プライベートな時間に立ち入る事も、まして痛みを分け合う事も出来ないのだから。
「気をつけろ・・・・」
「ありがとう。貴方もね」
そんな、決まり文句しかはけない自分。
颯爽と歩いていくを見送り、
踵を返したスネイプは、本当は行きなくなかった競技場へと脚を進めた。