「離して」
「今度という今度は演技に付き合う気はねえ」
「痛いだけよ」
「その痛みが尋常じゃねえだろうが」
「大丈夫だって私が言ってるの」
「今回はあの老いぼれに頼るべきだ!」
ガーゴイル像目指して喧騒を繰り返す2人。
目前に佇んだ主に微笑んだ対の門番は、
後ろからかけてくる音に反応し、
また、もとの石造へと姿を戻した。
「ハリー?どうしたの?」
「ダンっ・・・ブルドア先生に!!」
「ダンブルドアに?」
「そこで何をしている」
あまりにも喘いでいたから、
それに気を取られた2人は、
後ろの像たちが動いた事に気づけなかった。
黒いマントが翻る。
「クラウチさんが!!」
「なんですって?」
「ダンブルドア先生に会いたがってるんだ!!」
「校長は忙し・・」
「アクシオ!!」
スネイプの言葉を遮って箒を呼び寄せた。
丁度、柄の先端がおでこにクリーンヒットしたらしく、
スネイプが壁伝いにずるずると伸びて行った。
「開きなさい!」
一言叫んで箒に飛び乗ったは、
窓から飛び出して、一直線に禁じられた森を目指した。
開いた向こうからダンブルドアが出てくる事を知っていたから。
ふうわりと降り立って駆け寄れば、倒れている1人の代表選手。
そして、一瞬見えたような気がした、人肌。
荒い息が漏れる。
回線が物凄い速さでつながっていく頭。
は、そんな主には声をかけず、
命令を下されるときを、今か今かと待っていた。
「ムーディの部屋に行きなさい」
「了解」
3人がまだ校庭に現れていないのを確認し、
梟になったは、迅速に命令を実行すべく、
真っ暗闇の空へと溶け込む。
「エネルベート・・・・・大丈夫?」
「うっ・・・・」
「頭を打ったのね。他に痛いところはない?」
「あいつが!!アイツがヴォくを!!」
「話はダンブルドアが来てから聞くわ。少し落ち着いて」
湯気の立つホットココアを差し出して、
早足でやってくる3人に視線を向けた。
「どうゆうことかね?」
風がざわざわと木々を騒がす。
クラムから事の一部始終を聞いたダンブルドアの行動を、
は静かに見つめていた。
自分の出るべき状況ではない事を理解して。
「や」
「なんでしょう」
「何か見たかね?」
「私が来た時に倒れていたのは彼だけです」
「そうか」
嘘。
誰かを危険に晒させない嘘。
息咳きやってきたムーディは、己を睨む瞳を見てはならなかった。
部屋の前に佇んでいるはずの神。
溢れ出てくるのは、何の念だろう。
怒りでもない。
悲しみでもない。
「ダンブルドア、私、ハリーを連れて戻ります」
「其れが良かろう」
「ハリー、行きましょう」
「え・・・うん」
裏切りだと言う声をせなで受けながら、
ハリーの手を引いて校舎へと戻る。
暗い廊下を抜けて、もう少しで談話室だ。
今まで大人しく手を引かれていたハリーが、
少しだけ、抵抗して見せたから、大人しくとまってやった。
「何?」
「きょうの・・・・クラウチさんは、おかしいよ」
「何を聞いたか説明してくれる?」
「バーサが死んだ。息子、私の所為だ。ダンブルドアに言う」
「・・・・・・・それだけ?」
「それから・・・・闇の・・ヴォルデモートが、強くなってるって」
夜色の瞳に見つめられながら、
ハリーはまた、何を聞きたかったのか自問自答し始めた。
どんな答えを望んでいたのか。
ヴォルデモートが強くなっていないなんて、そんな戯言?
「私の所為と、そう言ったのね?」
「うっうん」
「・・・・・・・・ハリー?第3の課題は何?」
「へ?」
何故、今、第3の課題の話になるのか。
ハリーはさっぱりだったが、
が聞くということは、
これから出すのだろう答えに繋がるかもしれないという事。
「迷路だって。トラップを避けて、迷路の中心にたどり着いた人の勝ち」
「迷路の中心に何が?」
「優勝杯だって言ってた」
「成る程ね」
一本の線で繋がった。
けれどそれを阻止する方法がわからない。
隣で考え込み始めたを、
ハリーはただ見つめる事しか出来ずに、
太ったレディの絵画の前に佇んでいた。
「?」
「そんな顔しないで、明日から呪文の練習をする事ね」
「それ、ハーマイオニーやシリウスにも言われそうだよ」
「あら、判ってるじゃない」
「でも・・・・そんな事」
「言ったでしょう?答えは何の力も持たない」
「知ってる」
先程のシリアスな面持ちから一転。
いつものように笑うがそこにいて、
自分にはきっと、理解なんて出来ないことだって判っているけれど。
それでも、疎外感は否めない。
答えを探す路を用意してくれる。
強くなる。
強くする。
「貴方が今出来るのは、
ハーマイオニーに捜して貰えるでしょう呪いや効果的な呪文を、
第3の課題までに完璧に使いこなせるようになることよ」
「・・・・・・・・・判った」
自分が弱いと判ってしまったから、
是の答えを返すしか、出来なかったのだ。
自分がもっともっと・・・・・。
と、人はいつも、もしを考えて最悪の事態に望む。