弾かれた絆は爆発して、的目掛けて一直線に。
風が轟々と耳元で唸っているのが判る。
3人は後ろ手に呪文を飛ばしながら、
向こう側に戻れる道標まで、ただ我武者羅に。
「奴等を失神させろ!!」
呪文が横行する。
飛び交いながら、誰かに当たって砕け散った。
もう少し。
ぞくりと何かを感じたせなに、
は、呼び寄せ呪文を唱えたハリーの方へ、
を押しやり、守護呪文を唱えていた。
「っ!!!!」
「平気よ」
もういなくなってしまった3人に言葉を送る。
心配性な守護神は、きっと名前を呼んでくれていたのだろう。
向こうからやってくる幾人もの滑稽な姿。
は、ここで明かしてしまっていいものか少し悩んで、
成り行きに任せようと前を見据えた。
「殺されるために残ったか」
「先程貴方が言ったように、私は裏切りの娘」
「ハリー・ポッターを逃がしたのは痛いが、まあ、いいだろう」
「そうね。私は向こう側に着くと公言させて頂くわ。我が君?」
死喰い人たちがザワメク。
もう、縛られたりしないと、は何故か思えたのだ。
消えてしまった過去達が、それを確信させてくれたのかもしれない。
この石に意味があっても、それは私に向けられたものではないから。
呪文を唱えても、背筋を伸ばし、そこに在るに、
ヴォルデモートは目を見開いた。
「我が君が縛りたいのは私ではないでしょう?」
「っち!!」
「どうして死の呪文を飛ばさせないのかしら。
我が君の愛し君は、全くの別人だと聞いていますから、
昔の面影にほだされたなんて事はないのでしょうね?」
「死にたいらしいな」
「わざわざ聞いて下さるの?例のあの人と呼ばれたような方が」
「お前は"・"の何を知っている」
受け継がれてきた名前。
何度も見つけた。
愛した人と同じ名前の、君。
たった一人を、まだ、忘れられない。
知っていそうで結局吐かなかった2人は死んだ。
「教える必要はないわ。
過去に囚われる前に、そうね、少しは自分で考えたらどう?」
「貴様!!」
「杖を仕舞えと、目障りだと、何度も言った筈よ?」
飛んできた呪文を跳ね返し、自らが苦しみだす幾人かを、
とてもとても冷めた眼で見据える。
そこまで言うと、は姿くらましでその場を去った。
後に残ったのは、まさかという顔をしたヴォルデモートと、
指示を仰げないかわいそうな僕。
「どうしてあんな馬鹿な行動が出来るのか知りたいね」
「誰の事?」
「ボクにまとわり着く女のこと」
「それは貴方を愛しているからでしょう?少し歪んではいるけれど」
「愛?愛に価値なんてないよ」
「そう、それじゃあ、私は貴方と恋仲である必要はないわね?」
「は別さ」
「意味が判らないわ」
「別だってことは判る。けど、愛やヌクモリがどんなものかなんて・・・・」
「過去を嘆く前に、そうね、少しは自分で考えたらどう?」
「嘆いてなんか!!」
嘆いていたのか。
憎んでいた筈だ。
今じゃもう、判らないけれど。
"・"という名が持つ意味。
彼女が、いや、彼女達は何者なのか。
手に入れる者が、増えただけだ・・・・・。
どすんっと迷路の入り口に尻餅をついた2人。
セドリックを入れるなら3人だが。
「!!くそっ!!!」
わらわらと駆け寄ってくる教師達など目に入っていないかのように、
は校門へと翔けて行く。
それを止めたのはスネイプだ。
「待て!!」
「離せ!!」
「がどうなったかを先ず話すのだ!!」
「んな事してる間に、アイツ、また縛られちまう・・・・」
「縛られる?」
「契りを交わした者に対する束縛だよ。判ったら離せ」
気付き始めた今だけは、死なせてはならない。
そう思った。
「ポッターのことはいいのか」
「知ったこっちゃないね。俺が守るのはだけだ」
「我輩が行く」
「行かせねえ」
「なんだと?」
後方でダンブルドアがハリーを離れる。
あいつだ。
あいつが。
「オレはお前も信用してない。判ったな?」
腕を振りほどいたは、
ハリーにも、あいつにも目をやることなく、
校門の方へと、走って行った。
垂れ下がった腕。
新たな敵の認識。
少し考えて、スネイプはふと思った。
は、自分を信用してくれているのだろうかと。
思えば思うほど不安になる。
計画に差し支えるから?
違う。
殺さなければと思うから?
違う。
嗚呼。やっぱり。
愛しいんだ。