ホグワーツに着いてもざざ降りの雨がやむ事はなく。

急いで馬車に乗った生徒達は、一時の休息を得ている。

まあ、それも長続きはしないのだけれど。




「ピーブス!!」




校内に入れば、爆弾のごとく水が飛び散っていて、

折角乾き始めたローブもびしょ濡れだ。

双子と共に馬車に乗っていたは、

其れを避けながらどんどんと機嫌が悪くなっていくのが判る。




「学習能力のない生き物は嫌いだわ」

「あの爆弾はなかなかいかすけど!!」

「色がつくと尚の事良いな!」

「悪戯する相手は選ぶべきだったわね」




杖を掲げて呪文を唱えた

切っ先からが放たれた魔法は、ピーブスに直撃した。

するとどうだろう。

自ら外に出て、自らに爆弾を打ち続けるピーブスが其処に。




「ゴーストって厄介だわ」

「殺せないからな」

「「姫!!流石!!」」

「有難う。ミス・。助かりました」

「いえ。私がこれ以上濡れたくなかったので」




その言葉にピクリと反応したのはだ。

やはり、少しずつ変わってきている。

だって今、は自分のために魔法を使った。

このまま、いい方向に流れてくれればいいのだが・・・・。



新しい歌を微笑みながら聞いている

双子達は悪戯の話に花を咲かせている。

さして興味ない組み分けが終わったところで成される報告。

場内持ち込み禁止品の追加。

クィディッチ試合の中止。

DADAの新しい教員。

三大魔法学校対抗試合の開催。




「ねえ、?」

「なんだ?」

「私がココにいる事、彼、判ってたのかしら」

「ムーディが?さあな」

「凄く脅えた目で見られたわ」

「そりゃあ、変じゃねぇか?」

「そうよね」




威厳の塊のように、かつかつと歩いて来たムーディ。

隣を通る瞬間に見せた、脅えた視線は、

ウィーズリーのような魔法使いや、死喰い人になら何度も向けられた事がある。

それは、過去も今も変わっていない。

だが、ムーディほどの闇払いなら、

闇の筆頭であるような家の自分に、睨むような視線を向けてくるのが普通であろう。




「隠居生活が長くて力が衰えたかしら?」

「まさか」

「だったら、調べましょうか」

「またかよ・・・・」

「いやならいいのよ?着いてこなくても」

「いや。行く」




だって貴方は、私の主。




だってそう思うだろ!?」

「何の話?」

「聞いてくれてなかったのかい!?」

「ええ。こっちで話していたから」

「僕ら4月で17歳なんだ!なのに!!」

「なんなら校長に直訴に行ったらどう?」

「え?」

「ボク等OWL試験も優秀な成績で通過して、
もう既に17歳以上の勉強もこなしています。って・・・・ね?」

「姫は無理だと思ってるの?」

「無理と言うよりは無茶ね。
そんなことする暇があるなら、WWWの再開計画を立てた方が、よっぽど現実的よ」




食後の紅茶をすすりながら微笑むに、

なるほど・・・・と思ってしまった2人がいたとかいないとか。

まあ、老け薬なんかを使ってあの魔法使いが騙されるとも思えない。

だったりとか、

そんなことをした生徒に、茶目っ気たっぷりの罰を与えるのは目に見えてる。

なんかは言わずに置いたのだが・・・・。




「あれ?僕たちにWWWの話したっけ?」

「ちょっとした魔法よ。面白そうじゃない?手伝うわ」

「姫がいれば百人力さ!!」

「駅で言ってた話したい事ってこの事だったんでしょう?」

「「ご名答!!!!」」




それからは談話室に戻っても3人でWWWの事について語っていた。

は張り込みだ。

だが、消灯時間を過ぎても帰ってこない。

2人を先に休むように促し、

ソファに深く腰掛けたは、読みかけの文庫本をまた広げた。



それから結構に長い時間が過ぎ、

夜中の3時を回ったころ、ようやく開いた扉と、入ってきた人影。




「随分遅かったのね」

「ちょっとへましてな」

「大丈夫だった?」

「・・・・・・・・・やっぱりあいつ、ムーディじゃねぇ」

「誰だかはわからないの?」

「わりぃ」

「いいわ。貴方にしては随分時間が掛かったじゃない?」

「アイツ、警戒心強すぎなんだよ」




魔法で出された紅茶に手をつけながら、

の隣に腰掛け、

今日調べられた事を報告する。




「そういや、えらく気に入ってんな」

「双子の事?」

「ああ」

「あの子達はヒカリよ。この闇に包まれそうな世界に射すヒカリ」

「何も見えない進めない・・・か」

「ええ」




夜に照る月よ。

どうかどうか雲なんかに隠れずに、

その姿を瞳に触れさせて下さい。

進む道を照らしてどうぞ。

愚かな私が迷わぬように。