さて、期末テストという死刑宣告を受けてから、4日が経った。

朝食の席でマンドレイクが収穫される事を聞き、ロンとハリーは嬉々としている。

は、全く正反対の反応をしていたが・・・・




「動き始めるでしょうね」

「やっと・・・・か」

「何にも知らないお気楽人を守らないとよ?」

「・・・・・?」

「なに?」

「死ぬなよ?」

「保障は出来ないわね」

「おい!!」




自分の命を捨てる事は厭わない。

だってずっとそうしてきた。

誰かの幸せを願って。

自分の幸せは2の次で?

どんな菩薩様だとは舌打ちするけれど、

それはの耳に入る事はなく。




「日記の前の持ち主も気になるわね」

「ただいらなくなったからならイイけどな」

「もしも、危険を察知して捨てたのだとしたら・・・・」

「そいつも危険か」

「知的過ぎるのも問題だわ。もう1つの問題は、
どうやってあの2人を安全地帯へ非難させるか・・・ね」




その問題解決のチャンスは、意外にも早く巡ってきた。

魔法史の教室へ行く途中。

引率しているのは、あのロックハート。

騙すことは、容易い事この上ない。




「ロックハート先生?危険が去ったのであれば、
これ以上の引率は無意味じゃありません?次の授業の準備などもあるでしょう?」




ハリーとロンも、この時ばかりは首を千切れんばかりに上下に振っていた。

其れを見て溜息を吐きつつも、

そうしようと思っていたんですよと言い残して、

去って行くロックハートに、至極にこやかな笑顔を振りまいて。




「ハリー・ポッター、逃れるすべを考えろと言った筈よね?」

「ハーマイオニーが襲われたんだよ!!黙ってられないんだ」

「助けたいなら黙ってなさい。マンドレイク薬が出来れば戻れるわ」

「犯人を許せない」

「ヒーローごっこのつもりかしら?」

「黙れよ!!」

「4人とも!!なにをしているのですか!!!」




間の悪いことに聞こえたのは、厳格な声。

マクゴナガルだ。




「僕たち・・・僕たち・・・・・・・その・・・」

「僕達、ハーマイオニーのお見舞いに行くんです!!」

「そう!もう随分長いことハーマイオニーに会ってません!!」




そんな作り話に涙して、魔法史の授業欠席と、お見舞いの許可までくれた。

何故だか一緒くたにされた2人は不愉快極まりない。

そうなってしまった以上、医務室に行かなければならないからだ。




、先に行って様子を見ててくれる?絶対に手は出さないで」

「判った・・・・・・・早く来いよ」

「ええ。確かココだったわね・・・・開け

早くしろよ!!」

「まったく。お願いよ」

「判った」

!!」




煩いと言い放ち、しぶしぶ2人についていった

助けてやったのに礼がないだとか、

まあ色々といわれたが、はだんまりを決め込んでいた。



医務室でハーマイオニーのメッセージを見つけ、

職員室にまた猛ダッシュするまでも、さほど時間はかからない。

としては、早くを追いかけたかったものの、

何故だかハリーに腕をつかまれ、

一緒に職員室の洋服がけに隠れている始末。

先生方が、どやどやと雪崩れ込んで来る様に溜息をついて、

隣で真剣に聞き耳を立てている2人を見やった。




「なんでお前まで一緒にいるんだよ!」

「見つかってもいいの?」

「っ!」

「文句なら引きずってきたハリー・ポッターに言うのね」

「話が始まるよ!」




なんだか答えを知っていそうだったから。

あの話を聞いてから、

色んなところで見守られているのかも知れないと自惚れて。

だけれど実際、今日だって・・・・。




「生徒が1人、怪物に連れ去られました。秘密の部屋そのものの中へです」

「何故そんなにハッキリ言えるのかな?」

「"女の白骨は永遠に秘密の部屋で横たわるであろう"という伝言が残されています」

「誰です?どの子なんですか??」

「・・・・・・・・・・・ジニー・ウィーズリー」




バタンッ   ガシャン!!




微笑んだロックハートが入って来るのと、

真っ青になったロンが洋服掛けを倒したのは全く同時だった。

は慌てて、咄嗟に洋服ダンスの中へ2人を押し返すと、

透明マントを覆い被せた。




「なっ!!ミッミス・??!!」

「面倒ごとに巻き込んでくれたわね」

「ええ・・・何か聞き逃してしまいましたかな??」




駆け出そうとしての腕を掴んだスネイプ。

先生方の中には、驚きと困惑。

そして、ロックハートに対する憎悪の念が渦巻いていた。




「どこへ行く気だ!!」

「赤毛の女の子を助けるのよ」

では無理だ!!しかも、調度ココに適任者がいるじゃないか」

「そうですね。ギルデロイ?確か入り口を・・」

「地下生活が長くて、脳みそ腐ったんじゃない?」

「おい・・・・」

「そこの莫迦に何が出来るって?
そもそもこんなところで会議をする前に、
秘密の部屋の入り口を汗だくになってでも探した方がいいんじゃないかしら?

その点で言うなら、貴方達なんかより、
獅子寮の2人組の方が、よっぽど出来た人間だわ」




ひたすらひたすら無力だけれども駆け回って。

蓑に隠れてなにかと頭で考え抜いては、

当たり前のように言葉を並べる大人に比べたら。




「放してセブルス」

「放さん。死ぬ気だろう」

「だからなんだっていうの?
聞き分けが悪いと女の子にもてないわよ?先生?」




そう言って緩んだ手から離れた腕は、杖を掲げ、呪文を唱える。

強力な忘却呪文は、職員室全部を包み込み、

元に戻った時には、誰がそこにいたか想い出せなく、

スネイプは、ただ空を掴むばかり。

は箒を呼び寄せ、全速力でマートルのトイレへと向かった。




「お願い。もう彼に殺させないで・・・・」




その頃職員室では、ロックハートが青い顔をして出て行くところだった。

そいつの後を、銀色のはためくマントが追う。




「ジニーが・・・・そんな・・・・・」

「入り口は判ったんだ!!あいつの所へ行って、なんとかしないと」

「だって・・・・・あの蛇がいるんだぜ?」

「ジニーが死んでいもいいの??」




ハリーとロンもまた、秘密の部屋へと、確実に歩を進めていた・・・・