「馬鹿やろう・・・・・」
「流石にキツイわね。戦いの後だし」
「なっなぜ!!魔法をかけ・・」
「この程度の魔法を解くなんて簡単だよ。全快ならな」
だんだんと弱くなっていった光。
の方に倒れ掛かったを抱きとめたのは、他でもない。
本人。
そこへ、ダンブルドアが入ってきた。
「、ココで休んでいなさい。ハリー?話があるので着いていてくれるかの?」
「えっ・・・・はっはい」
「ウィーズリー。もうすぐ君の両親が来られる」
「どっどうしよう!!きっと凄く怒ってるわ!!」
「大丈夫さ!ママもパパも、怒ってなんかない!!」
ダンブルドアとハリーは医務室から消え、
それから数分と経たぬ内にウィーズリー夫妻が駆け込んできた。
流れた安著のため息と涙。
「?行くわよ」
「そうだな。あいつも来てるみたいだし」
「気付いてたのね」
「そこまで馬鹿じゃねぇよ・・・・・立てるか?」
「微妙だわ」
再会の喜びが渦巻く医務室の扉を、
気付かれないように開くのは容易いことだった。
皆が皆、ジニーとウィーズリー夫妻に見入っていたから。
とは医務室を抜け出し、
ダンブルドアとハリーが向かったであろうあの部屋へと歩を進めた。
「?あのな・・・・・」
「発作の事?」
「!!!」
「判るわよ。何年一緒にいると思ってるの?」
「には敵わねぇよ」
「逃げよ。全てが逃げ。情けないわね」
長い長い廊下に、の声だけが響き渡る。
哀しく反響しているその声色は、異様に明るい。
それは、が吹っ切れた証拠。
「そうすれば私が楽だったから。
あの子に殺しをやっていてもらえば、私が傷付かずに済んだ」
「そうか・・・・」
「だから開放してあげたの。私のエゴから。そしたらとても楽になったわ」
「もあいつも?」
「ええ・・・・」
自分勝手でゴメンなさい。
それを気付かせてくれてありがとう。
これからは受け止めていくわ。
死の恐怖も、血塗れた道も全て。
「あっ・・・・・」
「見た?」
「ばっちり」
「心配だわ」
「どっちが・・・」
カツカツと歩き続けて、前方に見えたシルバーブロンド。
2人は顔を見合わせ笑いあうと、一目散に駆け出した。
ダンブルドアの自室。
そこで話をしていた2人の耳を劈くように開いた扉。
そこに立っていたのは、怒りを露にしたルシウス・マルフォイと、縮こまったドビー。
ルシウスとダンブルドアは、停職処分がどうの、理事達を脅しただのと、喋っていた。
突き飛ばされそうになったハリーは、未だに固まっている。
「すると彼方はもう襲撃をやめさせたとでも?犯人は捕まえたのかね?」
「捕まえたってのは正しくねぇな」
「今はもういないしね?」
「なっ!!!」
「扉が開いてるから、入ってもいいと取りましたよ?」
「構わんよ」
そこに入ってきたのは、と。
2人とも、これでもかというほどに笑顔で、嬉々としている。
「っで、誰なのかね?」
「ヴォルデモート郷よ。ご存知だったんでしょう?」
「何の話・・・」
「その枯渇さ。本当に良い性格をお持ちだわ」
「貴様こそ何者なんだ!!」
「申し送れました。・と申します」
「っ!!」
「とても不思議な事に、貴方の魔力を微力に感じた日記が今回の媒介でしてね?」
すっかり青ざめてしまったルシウスの顔。
と聞いたときの、やってしまったという表情に、
3人。特には、笑いをこらえるのに必死だ。
失礼すると言って出て行ったルシウスを、見詰める。
何かを思いついたように駆け出したハリーを見送って、
は扉を閉め、ダンブルドアと向き合った。
「少しずつですが、今を見ようと思いました」
「それがよいのぉ」
それから、寮対抗優勝杯をグリフィンドールが勝ち取り、
期末試験がキャンセルされて、
夏学期の残りの日々は、走るように過ぎ去っていった。
勿論ロックハートは解約。
その日は、先生を交えて、パーティーが行われたとか行われてないとか・・・・・。
バジリスクは元いた場所へと戻り、時々は会いに行った。
そして、ホグワーツ特急の中。
コーパートメントの中で流れる微妙な空気。
いつもは悪戯に突っ走る双子も、
悪態をついている赤茶毛ののっぽも、
其れを沈める栗の巻き毛も。
その原因は、優雅に珈琲をすすっている、。
あのクィディッチの試合から、かあなり険悪なムードが漂っている。
「?これ、電話番号って言うんだ」
「知ってるわ。それで?」
「後2ヶ月も豚しか話す相手がいないなんて耐えられないから電話してね?」
しないと恨むよ?
と聞こえてきそうな会話にひやひや。
いつの間にこんな仲良くなったのか。
にっこりと笑って電話番号を受け取る。
少しだけ、壁が低くなったような。
そんな気がした。