向こうからやってくる緑のローブ集団。
自然、眉間にしわがよる。
なんだか黒いオーラが増大した気がしないではないが・・・・。
あまり触れないで置こう。
「フリント!我々の練習時間だ。去ってもらおう」
オリバーが叫ぶ中、スリザリンのキャプテンであるフリントは、
いやスリザリンチームの全員がニタニタとスリザリン特有の笑みを浮かべた。
同じような反応しか返せないらしい。
痛ましいくらいに。
「ウッド、俺たち全部が使えるくらい広いだろう?」
「っ!」
「それに、スネイプ先生から新しいシーカーの教育をと言われていてね」
「なんだって?」
新しい箒に固執しなければ、勝てないような?
いかんせん。
校舎に帰りたくば、その近くを通らなければならない。
うんたらかんたら、どうでもいい言い合いが聞こえてくる。
聞こえるような盛大な溜息を吐いてやれば、
聞こえたらしいスリザリン生がぐるんっと振り返った。
「これはこれは、グリフィンドールの中に潜む悪魔じゃないか」
「悪魔って、神に愛して欲しい人間が造ったって噂もありますよね。
でも結局本当は、天使の造った悪魔をさも自分が作った風に述べただけですけど」
「何の話だ」
「別に。なんでもありませんよ?先輩?
自分が高みに座す為に、さも自分の力の様に親の力を誇示するような人の話なんで」
「なんだと!!」
「あら、ルシウス・マルフォイの息子さんは自覚がおありだったの」
「黙れ!!!!」
「の言う通りよ!純粋に才能で選ばれた人ばかりだわ!!」
「貴様の意見なんて求めてないんだよ。穢れた血!!」
なんて酷い事をと、杖を構えるロンを眼の端に映しながら、
戻ってこない彼の、悲しそうに笑う姿がフラッシュバックする。
呪文が逆噴射したロンに駆け寄るハーマイオニー。
そのまま連れ立っていく3人を見送って、
は翠の集団へ向き直った。
後ろのグリフィンドール生達はいぶかしむ様な瞳。
あの噂が流れているんだろうか・・・・。
「私から言わせればみんな穢れた血でしょう?」
「なんだと?」
「そもそも、純血種というものはこの世に存在してないわ」
「ふん!!お前も純血だろうが、穢れてる事に変わりは・・」
「家も、なめられたものね?」
「っ!!!」
「この世に初めて生まれたモノだけが、純血種。他は皆、
交じり合って、そして、生まれてきたのだから。
あなた達の血が、この星が生まれて時からあったのだと、誰も証明できない」
「だがマグルは非力だからな。俺達が優れていることには・・」
「へぇ?まるで、神に愛されたかった人間みたいな人達が?」
「何が言いたい!!」
「勝手なヴォルデモート像を真似て誰も彼をも見下そうとしている貴方達は、
酷く、滑稽よ?」
何故、天使は愛されるの?
神様を守ってるからだよ。
だったら、敵を倒せば褒めてくれるかしら。
愛してくれるかしら。
それは、何かを造る神様の真似事。
「お前だってピクシー妖精如きに死の呪文を使ったんだろ?」
「そうだ。殺すしか知らない殺戮人形さん?」
殺戮人形・・・・・。
オレのマリオネット。
殺すしか知らない。
お前に出来るのは殺すことだけだ。
さあ、来い―――。
お前の前にいるアレを
コ ロ セ
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
甲高い叫びにびくりとしたのは両方で。
がくがくと震えだしたにどうする事も出来ず、
呆然と立ちつくことしか・・・・・・。
「ユルシテ・・・・」
「アレは弱者だ。判るな?」
「コロサナクチャ・・」
そのまま意識を手放した。
最後に見えたのは、あの人の、真っ赤な。
「・・・・っ!」
誰?私を呼ぶのは誰?
お前を呼ぶものなどオレ様以外に誰がいる。
そうよね。
「・・・・・・めっ!!」
誰?誰なの?
今日は何をする。
私に決定権なんてないくせに。
分かっているじゃないか。
さあ、来い。我が―――。
「姫!!」
「・・・・誰?」
「おお!姫が目覚められたぞ!!」
「良かったな。まあ、このまま眠り姫の展開に行った方が」
「「もっとおもしろかったけどな!!」」
「ごめんなさい。本当にどなた?」
「僕はジョージ」
「僕はフレッド」
「「悪戯仕掛け人とは、僕らのことだよ!!」」
重なったのは、黒髪ズの・・・・・・。
「獅子寮の問題児ね」
「酷い言い草だ!!」
「誰に聞かされたのですか!?」
「フィルチ氏よ」
「おい、この新・べっとり爆弾を試す相手が決まったな」
「そうだな相棒」
本当に過去へ飛んできたような、
そんなやり取りに、思わずは笑っていた。
久しぶりにお腹を抱えて笑ったことなど忘れて。
きょとんっとしたのは2人だ。
グリフィンドールの悪魔やら、マリオネットやらと呼ばれてる彼女が、
何故だか腹を抱えて笑っている。
「「どうかしたかい?」」
「いえ。貴方達の様な古い知人がいるのよ。それを思い出しただけ」
「と言うことは、は悪戯好き??」
「そうね。嫌いじゃないわ」
「以外だ・・・・」
「そうかしら?」
「うん。眼鏡っていうのもあるけど」
「それ、あんまり関係ないと思うのだけど」
「じゃあ!悪戯仕掛け人へ!!」
「ようこそ!!」
「気が向いたらね」
例えば其れは、
人形ではなかった一瞬の出来事。