遠く遠く、ぼろぼろのローブを想おう。

流石!!とか姫サイコー!!とか、

恥ずかしい事のこの上ない声が聞こえてくる。

大会と言っても、サンタ曰く、芸術は魔法らしいから、

ただ唄うだけのこの催し物。

後々点数が加算されているなどという噂は、なきにしもあらずだが。

弾き終わったは、くるりと踵を返すと、

グリフィンドール塔に続く道を歩いていった。

もちろん、双子達は無視して。



ひたひた。

ひたひた。

ひたひた。

ひたひた。




「いい加減声をかけてくれませんかね?スネイプ先生?」

「貴様、何者だ」

「とても無粋な質問をなさっていることお気づきですか?」

「ふざけるな・・・・」

「先生の欲しい答えは何です?」



「今日は何をされたの?セブルス?」




月に映える、夜色の瞳が、

嗚呼。帰って来てくれたと、それしか思えなくて。

思いっきり抱きついてしまっていた。

苦笑しながらも手を回してくれる優しさは、変わらない。




「髪の色が違うな・・・・」

「受け継がれる魂にも限度はあるもの。瞳か髪か、どちらかが変わるわね」

「今の色もいい」

「他の生徒が見たら失神しかねない、陰険薬学教師のだと思わない?」

・・・・」

「冗談よ」

「冗談に聞こえん」

「・・・似合ってるわね。その服」

「似合ってたまるか!」




スネイプは思いっきり、頭の上に浮いている輪っかを叩き落とした。

脊柱にもたれて話をする2人は、さながら恋人同士のよう。

そんな2人の間に割って入ったのは、だった。

途端、薬学教師の眉間には、当社比3割り増しの皺が刻まれたとか。




「・・・・・・・悪い」

「どうしたのよ」

「バジリスクが・・・・」









かわいそうに。

怖かったでしょう。

悲しかったでしょう。

見るもの全てに拒絶されて。

ゴメンね。




「フィルチ氏の猫じゃない」

「嗚呼」

「どうして・・・?」

「運悪く・・・いや、運良く。だな。それより、長居しねぇ方がイイ」

「判ってるわ」




石のように固まった猫。

扉に描かれた血文字と、這いずった痕跡。

もう少し早く着いていれば、悲しませずにすんだ。

強くなっていく彼の気配が、

少しずつ少しずつ彼女を蝕んでゆくのに、自身は気づいているのだろうか。




?」

「どうしてこんなところに・・・って、なんだよそれ!!」

「フィルチの猫だわ」

「ちょっと静かに・・・」

「なんだ、なんだ?何事だ?」




なんてバッドタイミング。

溜息をついて、足早にやってくる管理人を見やる。




「貴方達、逃げた方が良いんじゃない?」

「なっなんでだよ!!」

「この猫を石化した犯人だと思われるから」

「どうゆう事?」

「フィルチ氏は、貴方達の事嫌ってるのでしょう?」

「だからって理不尽すぎるわ!!」

どうしたの?顔色が悪いよ?」

「それ以上近づかないで!!」




冷たくなった猫が、血が・・・・。

嗚呼。ここはどこだったかしら。

ここは彼の邸宅で、いるのは私だけで、それから、それから・・・・。

音はしない。

色も持たない。

だから・・・・。




「イラナイ・・・」

?」

「アバダケタブラ」




眼前にいる黒髪が、紅の瞳に見えたから・・・。

走りこんできた青年に杖が叩き落とされなければ、

ハリーはこの世にいなかっただろう。




「判ってるならなんで残ったんだよ!!!!!!」




必死に叫ぶ。

戻ってきてくれ。

過去なんかにとらわれないで。

彼女にとって、過去とはいつか。

昨日か一昨日か。

それとも・・・・。




。落ち着かんか。医務室に・・」

「そんなトコ、なんの意味もない!!」

には休息が必要なんじゃよ」

「いるのは休息なんかじゃない!!こいつにとっての休息は・・」

!!!」

「っ・・・!」

「では、手近なところで話をする間、その者のベッドを借りようかの」




壊れ物を抱くように主を寝かせて、

隣で聞こえる喧騒に耳を傾ける。

今じゃない。

今じゃないけれど、にとっては変わらない。




「もう・・・・いいじゃねぇか・・・・神様」




何故、何故彼女だけが。

何が原因で・・・?

守護神なんて、ただの名前だけ。

んっとよせられた眉。

ゆっくりと起き上がり始めたに、

は安堵の溜息を漏らした。




。大丈夫か?」

「平気・・・って言ったら嘘だけどね。ココは?」

「DADAの奴の部屋。案の定あの3人が疑われてな」

「予想通りね」

や。目覚めたか?」

「ダンブルドア・・・ご心配おかけしまして」

「ところで、起きて早々悪いが聞きたい事がある」

「お話しできる限りなら」