灯りを 点けましょ 雪洞に

お花を あげましょ 桃の花

五人囃子の 笛太鼓

今日は楽しい 雛祭り


 
お内裏様と お雛様

二人並んで すまし顔

お嫁にいらした 姉様に

よく似た 官女の 白い顔


 

「お、懐かしいな」

「ノブナガ、知ってるの?」

「オレはジャポンの生まれだぜ?」

「そっか。でも、ノブナガ、女の子の姉妹いたっけ?」

「いや?」

「じゃあ良く知ってるね」

「まっまあな」




男の子でも知っているものなのだろうか。

家は、やたらとでかい雛人形を飾った覚えしかないが。




「これ、4番まであるの知ってる?」

「そんなにあんのか!!」

「うん」




蜘蛛達が集まってきているとも知らず、

はまた歌いだす。

なんとなく懐かしくゆったりしたメロディーは、

彼等の耳に合わなさそうなものなのに。




金の屏風に 映る灯を

微かに揺する 春の風

少し白酒 召されたか

朱いお顔の 右大臣



着物を着かえて 帯締めて

今日は私も 晴れ姿

春の弥生の 此の良き日

何より嬉しい 雛祭り





「良く知ってんな」

「まあ、一応、毎年やってたし」




儀礼だけの、お雛祭り。




「で、今日、ジャポンでは、女が着物に着替える日なんだな?」

「「は?」」

「マチ!」

「はいよ。おいで

「え、いや、違うって・・・ちょっと、聞いてる!?」




ずるずると引きずられて、何処に連れて行かれるのやら。

クロロの顔が、形容し難くなっていた過去は即座に抹殺したけれども。




「どうする?あれ」 

「ほっとくのが吉だよ。触らぬ神に祟り無し」

「神とか言える次元かしら」

「むしろタダの変体ね」

「そういえばノブナガ、あれって女の子の日だろ?
歌とかって、やっぱり男子でも聞いたことあるもんなわけ?」




同じような文化の中で育った彼は、

やはり、彼女と話が会うことが多くて。

イコール、理不尽な反感を買うことも多いということなのだが。




「ちょっとな」




向こうで、着てみたかったとか、思ってみたりなんかして、

3月3日には、色々な家を覗いてただなんて、言える訳がない。




「やっぱりやだ」

「何言ってんだい。早く出てきな」

「だって似合わないから」

「似合ってるって。ほら」




半ば押し出されるようにして出てきたに、

皆の目線は釘付けだ。

こんなにも紅の映える子供がいただろうか。

真っ黒なショートヘアーがまた、雰囲気を醸し出していて。




「似合ってるよ」

「着替えていい?」

「ダメだ」

「ボノまで・・・・」

、ここへ来い」

「あたしに拒否権無いくせに」




しぶしぶクロロの方へ歩いていくを合図にしたかのように聞こえた、

祭り好きの叫び。




「よっしゃ!祭りだ!!飲むぞ!!」

「フィンクス、そのお酒、いつの間に?」

「さっきな、ちょっくらフランクリンと盗りに行った」

「私も久し振りに飲みたいわね」

「決まりだな!団長、いいだろ?」

「好きにしろ(以外は)」

「桃花酒や白酒は飲むけど、騒ぐ祭じゃ・・って、聞いてないし」




ドンちゃん騒ぎが始まれば、誰もとめるものなどいない。

そんな中、すっとこちらによって来たのは、

向こう側での話しが唯一合う、侍。




「ほらよ」

「霰と菱餅だ・・・・・何処で?」

「企業秘密って事で」

「ありがとう」




その後、それに嫉妬したクロロが、大量の餅を盗ってきたり、

祭なのか宴会なのか、まあ、彼らにとっちゃ、

少しも違いなんて無い。



たった数刻、されど数刻。

ホームにアルコールの香りが充満するには十分で、

彼女の乗り気ではなかった心を溶かすにも、十分なのだ。

ほらまた唄が、聞こえ出す。

今日は楽しい雛祭り。




お祭違いだけど、まあ。