「Tric or Treat!!」
街に買い出しに出れば、そこかしこで聞こえる子供達の声。
まだ、昼の日差しが沈みきらぬ内から、
ランタンを手に、家々を回る。
「ハロウィンだね」
「コルトピはそのままでもいけそう」
「それ、嫌みかい?」
「べっつに」
「ささと買い物して帰るよ」
「フランクリンなんて人気者な事間違いなしだね」
「もあれやりたいか?」
「まさか」
両手に子供、基、コルトピとフェイタンを連れて買い物に降りてきたは、
そこかしこを眺めていた。
甘ったるいにおいを漂わせつつ、隣を通り過ぎる子供達を見やり、微笑む。
今朝、魔女っこの衣裳をうきうきと持って下りてきた団長を、
その場にいた全員が叩きのめしたことなど、露程も知らず。
「フェイタンが着たら似合いそう」
「目のさかくね」
「そうかな」
「さっさと買い物して帰るんじゃなかったの?」
蝙蝠の衣裳を指さして笑うにぴしゃり。
そういいながら、あでやかな衣裳に身を包んだ子供達から、目が離せない。
叩きのめしたものの、少しばかり、
とハロウィンを楽しんでみたいなんて・・・・。
それは、真っ先に飛んでいったフェイタンしかり、
後々制裁を加えた両親しかり、
とりあえずご飯を抜きにしておいたパクノダしかり、
証拠隠滅にでめを活用したシズクしかり、
もったいないと笑いながら、とりあえず殴っておいたヒソカしかり。
「〜〜〜!!!!」
さてさて、地を蹴って、高速ダッシュで帰ろうとした3人、
もとい、を呼び止めた声。
走り出そうとした身体を、なんとか無理矢理押し込めて振り返る。
「ゴン、キルア」
そこには懐かしい顔ぶれが。
少しばかりの仮装と共に。
「「Trick or Treat!!」」
子供の何も知らない純粋さには、やはり微笑みを。
それは嫌みでも何でもなくて、
心から羨ましいと思うもの。
あのころに戻れたらと何度も願った。
「はい」
「ほら見ろ!やっぱ準備してたじゃねえかよ」
「なあんだ」
「いつつくたね」
「今朝。クロロとかヒソカとかクロロとかクロロとか、
こうゆうの好きそうだし、何かしてきそうな予感がしたから」
穏やかに微笑むに、2人は心の底からぐっじょぶと叫んだ。
「賭でもしてたの?」
「悪戯出来たらと遊べるかもとかゴンが・・」
「キルアだって賛同したでしょ!」
「オレは絶対菓子持ってるって言ったし!」
「喧嘩しない。いらないの?」
「「いる!」」
一緒に楽しみたい。
ただそれは、純粋でなければ出来ないのかもしれないなんて、
勝手な思いこみを、ずっと。
美味しそうに紅茶クッキーを頬張る2人を見ながら、
お菓子くらい出して、ちょっとばかり仮装してなんて。
「遊ぶくらいならいつだって出来るし。連絡ちょうだい?」
「おう!」
「じゃ、今日はクラピカのとこも行こ!」
「ひっぱんな!!」
「じゃね」
手を振って見送ったあと、しばしの沈黙。
そして、痛いほどの視線を2人に。
「?」
「帰ろう。それからパーティーしよう」
「なんね今更」
「2人はクッキーいらない?」
「「いる(ね/よ)」」
ほらね。ダブった。
「これだっけ?」
「そんなの用意してたんだ」
「今朝、ちょっとね」
アジトに帰ってお片付けを済ました後は、
何故だか復活している魔女っこの衣裳を差し出される。
袖を通せばサイズはぴったりで、いつのまに計ったのか今度吐かせようと、
団員達は、心に決めた。
「似合う?変じゃない?」
「可愛いわ」
「似合ってるよ」
運良く(悪く?)下りてきて、似合うとかしげたの上目遣いを直視してしまったクロロ。
そこら中に溜まっている紅は見なかったことにしよう。
趣旨は違う気もするが、お菓子を配って回る。
晩ご飯は、少しばかり豪勢に。
「ヒソカ」
「可愛い★」
「はい。お菓子」
「聞いてくれないのかい?」
「何を?」
「ハロウィンはちゃんと言わなきゃダメだよ?」
「それ、あたしがあげたお菓子なんだけど?」
「言って欲しいんだ◆」
「はあ。・・・・Trick or Treat?」
腰を抱き寄せて吐かれた台詞に、
全員が鉄拳をお見舞いしたのは、言うまでもない話。
悪戯で★