「クロロ・・・・」
「なんだ?」
「ん・・・変・・・」
「何が」
「クロロが格好良く見える」
随分酷い言いぐさだ。
これでも女に苦労することはない顔だと、
自負しているのに。
「やっと俺の魅力に気付いたのか!!」
「・・・そう・・・・・かもね」
目にフィルターが掛かりきったのか、
いつもと同じ、あの穏やかな笑みで笑うに、
飛び付かんばかりの勢いだ。
奇術師がに渡したプレゼントは、
何を隠そう、即効性の惚れ薬で、
まあ、愛だとか、恋だとか、
色んな意味で霞んできている彼女に対してこの反応は、
満足すべき所なのだろう。
「なんで君がここにいるんだい?」
「それはこっちの台詞だヒソカ。お前は団員でも何でもないだろう」
「との愛があれば関係ないよ★」
「莫迦を言うな!はオレと愛を育むんだ!!」
「それもいいかも」
お尻にくっついてくる、
肯定とも否定とも取れる言葉は、一切無視だ。
いつものことだが・・・・。
聖夜にかまけての誘い。
神様の誕生祭になんか興味はない。
興味はないけれど、あやかるのは悪くないと思える。
街の雰囲気はそう、やっぱり恋人の其れだから。
「ボクの役だったんだよ?それ◆」
「!今すぐに救い出してやるからな!」
「うん。でもその前に、着替えても良い?」
「そんなものオレが用意してやる!」
そう言うが早いかお姫様抱っこされて、
窓から飛び降りたと思った瞬間、
アジトはもう、遙か彼方だった。
クロロの変態発言や行動が、
どうしておかしく聞こえないのかとか、
悩ませてくれても良いものだと思うのだけれど、
この状況では、とりあえず攻撃した方が良さそうだ。
「なに・・・これ」
「前々から準備していたミニサンタの衣裳だ。特注品だぞ」
「・・・・・・・」
嬉しくない。
嬉しくない。筈。
「脱ぐね」
「なっっ!!折角用意したのに!!」
「クロノス」
「うっ」
クロノスにいつでも邪魔される恋路。
自分は、幻影旅団の団長だったはずなのに・・・・。
「イブくらい・・・・ダメか?」
「・・・・・・・・」
「?」
握られた手が熱いなんて。
心臓の音がうるさい。
導は、導のままで、いてと。
願うのは自分の心かそれとも・・・・。
「・・・・・・・・今日だけ、だからね」
「判ってくれると信じてたぞ!!」
流石オレの!!
と叫ぶ声が、響いた。
窓から差し込む夕日はもう、沈みかけている。
彼を照らす夕日が、あまりも赤くて、紅くて。
「クロロ」
「なんだ。どうした?襲って欲s「何処にも行かないで」
それは、心からの叫び。
「お前を拾ったのはオレだぞ?」
「知ってる。でも・・・」
「オレは死なない」
「うん」
「約束しよう」
「うん」
一層、腕に縋り付く力を強めて、
撫でてくれる優しい手は、
いつだって其処にあったのに。
どうして疑うことがあるのだろうか。
契りを結んだ、クリスマス・イブの始まり。