色んなものに、
頓着できない自分に、
気付いては、
いたけれども、
どうしても、
一歩を踏み出す勇気が、
いや、
そんなこと言い訳に過ぎなくて、
結局、
自分で望んだ道が、
繋がっていた未来だったって事くらい、
分かってるつもりだ。
20もとうに過ぎて、
社会人として働いてる俺は。
こんなぷにぷにした手ではなかった筈だが?
「起きたか!!」
「ホント、ちっちぇえなあ。お頭がこいつ連れてきたときは、
終に人さらいまでするようになったかって疑ったぜ!!!」
「はは、ちげえねえ!」
「おいこら!オレはそんな悪じゃねえぞ!?」
「どの面さげて、その台詞口にしてんだ?」
「ベック!」
「あー(あー!?なんだそりゃ!!)」
「どうした?御免な。怖かったよな」
「お頭の顔がな」
「ヤソップ、お前、甲板で指揮でもとっとけ!!」
「あいよ」
赤髪と呼ばれ、
本の中で恐れられている彼に抱き上げられた後、
鏡に映った自分は、
紛れもなく、5歳児だかそこら辺の少年で、
俺、この頃は可愛かったんだな・・・・。
とか思いつつ、目の前に迫る髭を押し返した。
「嫌われたな。お頭?」
「なんでだよ!!助けたのはオレだぞ!?」
「べっく」
「なんだ?オレに抱っこして欲しいってか」
「なんでベックの名前だけ呼ぶんだ!?」
「さっきお頭が呼んでただろ。頭の良い子だな」
「明らかにオレよりもって含んだだろ」
「分かるようになったのか」
「くそったれ!!」
とりあえず、安全地帯に避難するに越したことはない。
抱き上げられれば分かる、筋肉で引き締まった腕も、胸も。
不思議と、
焦りはなかった。
それは、
何にも、
後悔するほど、
入れ込んでいなかったからなのかもしれない。
「お前、なんであんなトコにいたんだ?」
「うちでねてた。きづいたら、あそこにいた」
「そうか」
間違ったことは言ってない。
少しばかり残業して、いつも通り晩飯食って、
風呂につかって、ベッドにダイブして、寝た。
それだけ。
「フーシャ村にでもあずけるか?」
「マキノさんなら面倒見てくれるだろ」
「ルフィやエースもいることだしな」
「嗚呼」
一気に重たくなった空気は、
俺が親に捨てられたとか、そう言う類のことを想像しているからだろう。
俺は、もう、この状況に慣れ始めてる。
なんちゃってプラス思考発揮だ。
「べっく」
「なんだ?」
「ここ、どこ?」
はい?
「ここはな、船の、上だ」
「ふね」
「・・・嗚呼」
俺は、赤髪に向いた注意を、
袖を引っ張ることで己に向けて、
素朴な疑問を飛ばしただけなのに、
なのにどうして、
赤面されるんだ・・・・?
「お前、俺にも抱かせろよ!」
「・・・・・・お頭、別の意味に取られるぞ?」
「俺はロリコンじゃねえ!ついでにナイスバディなお姉さんが好きだ!」
「あ」
「なんだ?どうした?早くそいつ貸せよ」
「まだ、こいつの名前聞いてないな」
「・・・・・・・・・・・」
じっと見つめる4つの瞳は、
少し、眩しすぎて、
俺は、目を見開いたのだと思う。
「・・・・」