俺は今、1人で歩いています。
歩いてるのは間違いか。
飛んでます。
そう、飛んでます。
鷹だか鷲だか分からない、
とりあえず奇妙な鳴き声の鳥に掠われて。
事の発端は、あの赤い髪なんだけれども。
「〜〜」
「しね」
「ベック!ベック!!が〜〜〜あ゛〜〜〜」
「とりあえず指揮を取ってくれお頭。敵船が目の前だ」
「それどころじゃねえんだよ!!」
「敵船目の前に、それどころもあるか!!」
「アジール!てめえはに嫌われてねえから!!」
「元はと言えば、お頭が悪いんじゃねえか」
ずうんっと、沈み込んだシャンクスに、
大幹部達も、溜息しか出ない。
そろそろ溜息も枯れてくる頃合いだ。
「」
「・・・・・・・」
「。頼む。後で本読んでやるから」
「ほんとに?」
「嗚呼」
「なんでも?」
「なんでもだ」
「じゃあ、こだいれきしとごがくのすべて。ね?」
「・・・・・・・・・・分かった」
日本語で太刀打ちできるものはよいのだが、
いかんせん、太刀打ちできないものの方が多い。
そこで、ベックマンパパの御本の時間だ。
膝の上に乗って、専門書を聞く。
まあ、無理にとは言ってない。
ベックマンだって、膝の上にがいることを嬉しく思うがあまりに、
広辞苑並みの専門書を読んで聞かせるのだから。
ただの莫迦だ。
「シャンクス?」
「な゛んだ?」
「てきせんやっつけたら、しねっていわない」
「!!」
「(さっさとやって来てくれないと、変な目線がこっちに・・・)」
「よっしゃあ!!」
「ちょっ!シャンク・・」
歓喜のあまり、
を上に放り投げたシャンクス。
たまたま通りかかった、
子供が生まれたばかりの化け物鳥。
かしょんっと、綺麗に、その脚へとはまり込んだのは、
体操選手なみだと言えよう。
「え?」
「な!」
「おいっ!!」
「〜〜〜〜〜!!!!!」
シャンクスの叫びも空しく、
真っ青な空へと消えて行った。
その後、ボートがもの凄い勢いでこちらに来ようとしていた事は、
まあ、幻覚だとして、
こいつが向かっている巣から、
どうやって抜け出すかが問題だ。
「(動物相手には、通じないだろうしな)」
変態製造器は。
「(となると、ん〜〜〜絶体絶命か?)」
暢気にそんなことを考えながら、
ふと下を見て、
見なければ良かったと心底後悔した。
血塗れの男の子が立ってたなんて見てない。
その周りの屍累々なんて見てない。
断じて見てない。
しかも、目があったかも知れないとか・・・。
「(見てない見てない見てない見てない)」
これなら、鳥の巣の方が安全な気がする。
いや、間違いなく安全だろう。
早く巣に着いて下さい。
なんて、願いも空しく、
猫型のそいつは、
地を蹴って、空へと舞っていた。