じっとただ、観察した。

特技でも何でもない。

ただ遠くから見ていれば、深く関わることもなく、

かといって関わらないこともなく。

そんな関係を築けるから。



だった筈だ。

俺の世界でわ。




〜〜〜〜〜〜!!!!」

「しゃんくす、いたい」

「可愛い目で俺を見つめやがって!!」

「(多大なる勘違いだ・・・・)」

「ホントにお前可愛いなあ」




ここにきて早1週間、

こういった、子煩悩か??的なスキンシップは、

1日の内、数え切れないほど行われるから、

もう、対処法は会得した。




「お頭、仕事しろ」

「お前もだろ!ベック!!」

「オレの役目は終わった。後はお頭の進路決定だけだ」

「え〜〜〜〜〜」




を離さず、

いや、むしろさらに強く抱きしめて、

駄々をこねる親父。

そろそろが窒息寸前であることには気付かない。




「しゃんくす、おしごとがんばって」

「おっし!行くぞ!!」

は置いて行け」

「なんでだよ!!」

に構って、この間仕事が全く進まなかったのは何処の何奴だ?」

「待ってろよ!直ぐに終わらせて戻ってきてやるからな!!」




にこやかに手を振って、

出来れば半日ほど籠もっていて欲しい。

なんて思ったことは内緒で。

つきたくなる溜息も飲み込んだ。

こんな可愛い子供は溜息なんてつかない。




「(5歳児ってどんなだったかな・・・・2●年前か・・・・)」

、お前、お頭に抱き付かれると必ず俺を捜すだろ」

「・・・・(気付いてたのか。流石赤髪の右腕)」

「そんなにお頭嫌いか?」

「べっくのほうがいたくない」

「・・・・・・・」



「副長!そんなちっさい子に手えだしたら犯罪っすよ!!」

「誰が出すか。仕事しろ仕事」

「(あ・・・・夜の方で取られたか)」

、そうゆう時はな・・・」

「やさしくだっこしてくれる」

「そう言え」

「あい」




このまま子供の振りを続けて、

子供のままで居れば、

いつか、大人になっていく内に身に付けた、

要らない鎧を脱ぎ捨てることが出来るだろうか・・・・。

わざと可愛く手を挙げて見せた自分に吐き気をもよおしながら、

は海へと目線を外した。




「今日もベンに抱っこされてんのか、

「やそ」

「覚えたな。偉いぞ」

「いたい」

「俺の息子も、このくらいかあ」

「そういやお前、子持ちだったな」

は聡明だぜ。この年の子にしちゃあ」

「分かってる。この年で人間観察してやがるからな」

「(ちょっと・・・・まずいかな)」




昔の身体ならともかく、

今の身体で保護者を失っては生きていけない。

こんなどうでもいい生き方をしていても、

死にたいなんて思ったことはなくて、

ただただ毎日を生きるだけだったけれど、それでも。




「おれ、へん?」

「変じゃねえよ。むしろ犯罪的な可愛さだ」

「嗚呼。変態にはくれぐれも気をつけろよ?

「へんたい?」

「赤い髪した親父だ」

「しゃんくす?」

「オレを探せよ。飛んできてやるから」




そうゆう彼等も、変態へ一歩を踏み出しているのだと、

未だ気付かずにいるのだろう。