「しごと、しないといけないんじゃ・・」

「終わらした。報告もしたから必要ない」

「(早く解放されてえ・・・・)」




この惨劇(後ろから抱き付いているこの青年がした)の島に、

一体いつまでいればいいのだろうか。

かれこれ幾週間か過ぎている気がしないでもない。






「なに?」

「いや」




会話はいつもこの調子。

続きやしないから、毎日、暇という敵と銃撃戦。




「くだものとりにいっていい?」

「俺も行こう」

「ひとりでだいじょうぶ」

「迷子になるだろう」

「(誰が?)」




言われるままに手を引かれ、

今日を凌ぐための食物を捜しに出掛ける。

朝昼晩の3回動くだけで、

大概は湖の畔に座ったままだ。

いや、ルッチの膝の上に座ったままだ。




「そっちは危ない」

「でも、おいしいきのみがなってて」

「俺が取ってくる。待っていろ」

「うん」




肉も魚も、彼が仕留めてくれるから、

自分は何ら苦労せずに生きていられるわけで。

コレで良いのか?

シャンクスについて行く努力をするんじゃなかったのか?

政府に連れて帰ろうという能が働かないだけマシだが・・・。




「がき」




楽な方へ楽な方へ行きたがる。

悪い癖。

両手いっぱいに木の実を抱えて来るルッチに手を振りながら、

心の底から溜息をついた。









その頃の赤髪海賊団はと言えば・・・。




「餓鬼か」




船が大変なことになっておりました。

シャンクスの涙と鼻水で。




〜〜〜はまだ見つからねえのか?」

「このだだっ広いグランドラインで、少年一人見つけるのは不可能だ」

「諦めろお頭。縁があったらまた会えるさ」

「元はフウシャ村に置いて来る気だったんだろう?」




そうだ。

いくら可愛くて愛らしくてキュートでハニーで子犬ちゃんでも、

海賊の旅路に、彼はいない方が良い。




「まあ、生きてる可能性の方が低いだろうよ」

「お頭、仕入れの伝票だ」

「・・・でねえ」

「なんじゃ?」

は死んでねえ!!」

「お頭・・・」




誰だって信じたい。

けれど此処には、人を食す動植物がいくらいるのだ。

考えれば考えるほど、が生きている可能性を下げていくばかりで。




「いつ命が絶たれるか判らん旅だということを、
は理解しとったよ。だから医術を学んどった」

「何処でも生きていけるような、食材の選り好み方もな」

「俺達の仕事は、船を止めねえ事だ。判ったな?」




ただただ可愛くて愛らしく・・略。

判っている。

其れが例え、自分の馬鹿馬鹿しい行動が原因だったとしても。




「お頭あ!!島が見えます!!」

「次の島じゃあ、なさそうだな」

「どうすんだよ。お頭」

「・・・・・・・・」




ずっとずっと捜してきた。

忘れたくなかった。

顔が薄れていくのが怖かった。




きおくはなくなっていくもんだよね




幼いながらに本を抱えて、

いつだったかが言っていた気がする。




「上陸だ」

「了解」