数秒の間。

見つめてくる金色の瞳。




「シャンクス、だあれ?」




まあ、存じているけれども、

今の自分は知らなくて当然だ。

なので、首をかしげて聞いてみた。

滴る鼻血は消去の方向で。




「コイツは鷹の目のミホーク」

「しちぶかいの?」

「知ってんのか!!!偉すぎるぞ俺の!!」

「(お前のものになった覚えはない)」

「そういう趣味まで出来たのか。救いようがないな」

「言ってくれるなよ鷹の目」

の可愛さは半端じゃないんだ」




「くっっくるっっ・・・」

「船長、そろそろ、下ろしてやれよ」

「なんでだ!!」

「じこしょうかい、したい、な」




ぎゅっと握られたシャツの端。

勿論アングルはばっちりの必殺上目づかい。

とどめに言葉を区切るのと同時、首を傾げてやれば、ほら。

ぷっつん。

どばあ。


なんて、あたりが血の海になるのは日常。

甲板に彼が捨て置かれるのもまた日常。




鼻血で汚れてないだろうな?

「べっく、そんなあほみたいなことしないよ




にっこりと満面の笑顔付きで。

そっと下ろされた床の上。

今度こそ。

と、憧れの鷹の金の瞳を見つめて、

邪気のない満面の笑みで言葉を紡いだ。

この時、眼があったこの時に、ミホークの空気の変化を、

が少しでも感じ取っていたならば、

この後の大惨事は防げていたかもしれない。

しれないけれども、口からこぼれてしまった言の葉は、元に戻らないからして。

つまりは手遅れということ。




「はじめまして。っていいます。よろし・・」




く。

と、挨拶を締め切ったころ、

ものすごい風を感じて、

何故、ベックマンの髪が揺らいで、あんなに後方に・・・。




「え?」

「気に入った。俺が鍛えてやる。素質はあるからな」

「え??」




やっと事態に気付いたのか、

ベックマンや、シャンクスが追ってくる。

その時既に自分は海の上で、

ものすごい形相でオールを手にして漕ぐミホークなんて、

見てない見てない見てない見てない。




「師匠なぞと呼ばなくともよい。ミホークと呼べ」

「いっいやだぁぁぁぁぁぁぁ!!!」




自分の危機だと思いつつ、

鼻血を垂らしながら、

同じように必死に船をこいでいる
シャンクスを見ると、

なんだか気持ちがなえてしまったのは、

の心だけが知る、秘密である。