少しばかり混乱した頭を落ち着けよう。

今此処は、ミホークの膝の上だ。

何故自分は此処にいるのか。

攫われたからだ。

何故攫われたんだ?




「ミホーク」

「どうした?」

「なんでもない(顔怖い顔怖い顔怖い)」




とりあえず、は何も考えないようにした。

考えたら終わりだ。

むしろ、シャンクス然りだが、

頭の中なんて覗こうモノなら、

自分のこれからの人生が危うい。




波は穏やかに、2人を運んでゆく。

海王類もいない。

海賊船も見えない。

嵐なんて、あの文字すらない。

シャンクスも、いない。




「あの・・・ね」

「?」

「おれ、シャンクスのふねにもどりたい」

「何故だ」

「なぜって・・・・」




何故だろう。

ミホークは大好きだった。

だった?

少し離れて分かったことは、

あの眩しい赤を、やっぱり、近くで見ていたいって事。




「おれを見つけてくれたのは、シャンクスだから」

「もうそろそろ無人島だからな」

「へ?」




この鷹は、まったく人の話を聞いちゃいない。




「正式に俺の弟子として迎えよう」

「あのちょっ、え?まって」

「本当にお前は筋が良い。剣士として育ててやる」

「いらないよ!」

「ならばお前は何になる」




ナニ、に?

子供の内は、只何も考えず、1日1日を生きていた。

消防士や、警察官に憧れたこともあったっけ。

大人になったら、こうなってああなって、

なんて、夢を描いて、

其処に生きてるのは、スーパーマンみたいな自分。




「赤髪に拾われたらしいな」

「うん」

「海賊になるのか」

「・・・・・・・・」

「ならば海軍か」




海賊になりたいからあの船に乗ったのか?

何のために乗ったんだ。

しんどい一歩まで踏み出して。




「シャンクスの・・」

あいつの嫁にでもなるつもりか

ありえない

「ではなんだ」

「シャンクスの、となりに、いて」




そしたら、何か見つかると思ったんだ。




「また他人まかせ・・・」

「なんだと?」

「なんでもないよ」




ミホークは、やはり凄い。

いや、凄いというのは失礼かも知れない。

何があって、どんな道を歩んで、

今ここに至るのかは知らないけれどもきっと、

自分が想像するのすらおこがましい、

大変な鍛練やらを積んできたに違いないと、

は1人でふけっていた。




「まあ、帰すつもりもないがな」

「・・・・・・・・なんて?」

「気に入った」

「(なんで俺、こんなのばっかし?)」




ゆうらりゆうらり、

ミホークの膝の上で、の溜息が落ちる。




「鍛えてやるからあんずるな」

「(まじですか)」