「ミホー・・・ク?」

「なんだ」

「ここ・・・・って・・・さ」

「街に来たかったのだろう?」

「たしかにね、まちには、ちがい、ないけど・・・」




どっしりと聳え立つあれは、

海軍本部ではなかろうか・・・。

自分の目がおかしくなってしまったのだろうか。

どうせなら、本当に夢だったらよかったのに。




「買い物は向こうの方が便利だ」

「そう・・・なんだ」




へえ。

としか言いようがない。

そこら中を隊列を組んで歩いている海兵達を、

見て見ぬ振り。




「おい、あれ・・・」

「鷹の目が何故こんな所に」

「しかもあの子供見ろ」

「まさか・・・」

「いや、あの鷹の目に限ってそんな」

「だが、一応報告しておいた方が・・・」




手を繋がれて歩いている

赤髪海賊団の面々なら、まだ、マシだったのかもしれない。

とにかく、この強面に可愛いマスコットは、

バッドアイテムだったのだろう。




「鷹の目」

「何の用だ。青雉」

子供を拉致って何する気?

拉致などしておらん

え?あれらちじゃなかったの?




しばしの沈黙。




「買い物に行くのだったな」

「誤魔化すのは良くないねえ」

「ミホ・・いたいよ」

「すまん」

「鷹・・」




青雉がそう発するのが早かったか、

抱き上げられて、ミホークが全力疾走するのが早かったか。

青雉が豆粒ほどになった今ではもう、

確かめる術はないけれど。




「ミホーク?」

「なんだ

「やっぱりイイや」

「そうか。買い物をしよう」

「うっうん」




まあとりあえず、

此処がどこであろうと、

普通に買い物が出来ると思ったは、

直ぐにその考えを改めなければならなかった。




「どれでも良かろう」

「よくないよ!」

「これで良い」

「そんな高くなくてもいいものはあるから!」

「金なら困らん」

「そういう問だいじゃなくて・・・」

「酒も入れておこう」

「お酒はいっぱいあったんじゃ・・」

「あれでは足りる筈がない」

「え?でも3ダースくらい・・・」

「もう5ダース足しておくか」

「だっだめ!」




そんな感じで、

とにかく1つの野菜を買うのに、

いったい何分費やしたか。

全てを買い終えて、ミホークの船に戻った時にはもう、

月が真上に昇った後だった。