「判るな?」

「うん」




そりゃあ、そうだ。




「俺もと会えないと思うと、身の裂けるような思いだが!!」

「ここにつれてきてくれてありがとう。しゃんくす」

娘を嫁に出す時ってこんな感じか!?」

「(嗚呼・・・やっぱり頭はぱーんなのか)」




ここに、残ることが、嫌な訳ではない筈だ。

ただ、生きていられれば良いと、思っていたから。




「なんだよ!もつれてってもらえないのか!!」

「そりゃあ」




つきんっ。




「だからっておれはあきらめねえ!!」

「はいはい」

「おれをつれてけ!!シャンクス!!」

「ダメだっつってんだろ」

「なんでだよ!!おれのパンチはなあ・・」




つきんっ。

2人の会話が遠のいていく。




「ほれ、、皆に挨拶して来い」

「うん」




酒場を後にして、慣れ親しんだ道を行く。

職場が変わるような、只それだけのことだ。

乗る電車を変えて、今まで見知った人とさよならして。

だけれどそれは、見知っただけで。

別に深入りしているわけでもなかったし。




「あじーる?」

か。開いとるぞ」

「ありがとう。いろいろ」

「わしも、の花嫁姿が見れんのは悲しいのじゃが・・・・」

「・・・・・・・・・」

「今生の別れでもない。また会いに来てやるから」




そう。一度だけ。

けれど、それは例外で、

海賊の別れなんていつでも永遠にさよならだろう?

なのにどうして・・・・・・嘘、を。

頭に乗せられた、ごつごつの手が、妙に寂しくなる。




「うそつき」




ぽそりと甲板に戻る階段で吐いた言葉は、

あまりにも子供じみて、稚拙で、

自分でも驚いた。




「お!じゃねえか!こっちで酌してくれよ!!」

「うん」




やそ、けがしないでね。

るう、たべすぎないでね。

べっく、しゃんくすにからだこわされないでね。




「ホント、お前は頭良いな」

「ちっとは見習えよ!ルウ!!」

「ちげえねえ!!」




からからと響く、心地の良い笑い声。

ふとすれば、子守歌に聞こえてもおかしくはない。

元々あまり飲まなかった、お酒のきつい匂いにも、

慣れた自分が其処にいて。




は、ベン大好きだな!」

「うん。べっくのだっこ、やさしいから」




誰かさんとは違って。




「なんか、お父さんが板についてんぞ?」

「羨ましいなら、そう言え。お頭」

「羨ましくなんかねえ!!」

が自分から抱っこしてって行くの、ベンだけだしな!!」

「そんなことは・・」

「あるだろ?」




海の匂いは、とても近いはずなのに、

とても、遠い。




「しゃんくす」

「なんだ?」

「いってらっしゃい」




そしてバイバイ。