Buttercup:子供っぽさ


「恭弥、恭弥!」

「五月蠅い」

「ってえ!!!」

「五月蠅い」

「あんな!冬は身体冷え切ってて、より一層いてえんだぞ!」

「知ってるよ。そんな事。それより邪魔」

「邪魔ってお前・・」




長い長い廊下を闊歩しながら、

トンファーと素手でやり合いながら。

これはもう、日常茶飯事なのだ。

綺麗に直角90度で角を曲がって、

我らがボスのいる執務室へ。




「綱吉、報告書」

「あの、雲雀さん、ノックくらい・・・」

「何?僕に命令する気?」

「命令じゃなくてですね・・・」

「今度こいつと組ませたら咬み殺すよ」

「嗚呼、さん、お帰りなさい」

「今気付きましたって顔すんなよ。ボス」

さんにそう呼ばれるの気持ち悪いんで、止めて下さい」

「あのな・・・・っておいこら!勝手に帰んなよ!恭弥!!」




ぽいっと報告書を放って、少しばかり会話をしていれば、

直ぐに隣からいなくなる。

肩に止まっているヒバードくらい、素直なら良いのにと、

いつもいつも思ってしまうのだ。




「ツナ。もっかい恭弥と組んだら、俺、死体で帰ってくるかも・・・」

「それはないですよ」

「言い切るな」

さんと組む時の成功率は100%。早さにおいてもダントツですから」

「だと良いけど」

「あ、屋敷破壊したら、給料からさっ引きますんで」

「現実的な言葉、どうも」

「よくやりますよね」

「可愛くてさ、仕方ないんだわ。もう、末期だろ」

「はい」

「ちょっとは否定しろよな。じゃ、暴れる前に会いに行って来るか」

「報告書、確かに」

「身体、気を付けろよ」




後ろ手に手を振って、

屋敷の方へ戻ったのだろう自分の恋人を追いかける。

恋人、という位置にいる・・・・筈だ。

不安にならないことはない。

まあ、雲雀恭弥は、ああだから雲雀恭弥なのだ。




「お帰りなさいやし」

「恭弥は?」

「奥です」

「機嫌は・・・・・・いつも通りだな」

「障子に穴だけは勘弁して下さいよ」

「頑張るよ」




勝手知ったる屋敷内。

何処にいるかなんて分かっているし。

一つの襖を開ければ、炬燵の中で、書類整理に勤しむ雲雀が。




「任務から帰ったばっかだろ。ちょっとは身体休めろ」

「君と違って柔じゃないからね」

「思いっきり眠そうだぞ」

「その使い物にならない眼、えぐり取ってあげようか」

「恭弥、ちょっと休め」

「五月蠅いってば!」




つつくと荒れる。

なだめると機嫌を直す。

お前は一体何歳だと、問いたくなるのは当たり前。

うつら。うつら。

船をこぐ。




「寝ろよ。書類は俺がやっとく」

「何隣に座ってるの?殺すよ?」

「はいはい」




頭をポフポフ。

子供扱いされることは嫌いだ。

嫌いだから払いのける。

言葉で責めても、押し出そうとはしない。




「返・・して、僕の・・・書類・・・」

「眠気MAXで炬燵に入ったんだから、寝たかったんだろ?」

「違・・・」




疲れて、炬燵に入れば、丸まって寝られる。

溜まった書類の肩代わりは、いつもがしてくれるから・・・。

何かと先を読まれては、切り替えされるのが、

むかついて、いらいらして、いつも、当たる。

内緒にしておきたいことも全て、どうして、には分かるのだろう。




「うおっ!」




いきなりがくんっと、後ろに倒れた雲雀を支えて、

書類が舞った。




「世話が焼けるな。ホント」




しっかり横にならせて、

舞った書類を拾いに行こうと、立ち上がる・・・筈だった。




「おいおい・・・」




猫のように丸まって、しっかり掴まれたシャツ。

こいつが起きる頃には皺くちゃになってるのだろう。

そんな可愛さが、止められない。

こいつを離せない、理由。




「・・・・・・・・」

「なんだ」

「起こしたら・・・咬み・・殺す・・・よ」

「分かった分かった。ゆっくり休め」

「分かっ・・た・・は1・・・か」




頭を撫でることを許される。

数少ない時間。




「ホント、可愛い奴」




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