Forget me not:真実の愛
「?」
月が照らす、開け放たれた部屋。
こんな夜中にいなくなるなんて珍しい。
いや、今まで一度としてなかった。
あいつは、夜が、今でも怖いから。
「」
少しばかり強く呼んでも、
いつもみたいに溜息は聞こえてこなくて。
「おいリク、何処に・・」
「此処で何してるの」
「・・は?」
鈍く光る刃。
初めて会った時以来だ。
こいつのこの瞳が、俺に向いたのは。
ただ分かるのは、震えている指だけ。
「どうした」
「っ!」
そんな震えた手でナイフを握りしめて、
まるで、自分の場所へ入って来られれば、
自分が生きられなくなってしまうようなそんな。
だからそっと、その手を包んでやった。
「どうした」
「此処は何処。貴方は誰なの」
「此処はお前の家で、俺はお前の隣にいられる人だ」
「分からない・・・分からないよ!!」
全てが真っ白になって。
不安で不安で仕方なくって。
どうしてこの人は分かるんだろう。
背中から感じたい温もりとか、
撫でて欲しいこと、とか。
涙が止まらない。
「落ちつけ」
なんだろう。
この安心感。
微笑み。
「クロロ」
「な・・・・に?」
「俺の名前だ。呼んでみろ」
「クロロの名前ってね、安心するの」
その笑顔を忘れた事など無かった。
愛など語る気は毛頭無い。
ただ傍にいたいだけだ。
お互いが、お互いを認め合えればそれで良い。
「ク・・・ロロ?」
途端頭に流れ込んできた情報。
全て。総て。統べて。
「クロロ、クロロ、クロロ、クロロ」
「此処にいる」
大きくなってゆく嗚咽に、
一層、
抱きしめる手に力を込めて、
撫でる手に優しさを込めて。
「何か飲んだのか」
「ううん」
「念が暴走したのかもしれない。心配するな」
いつだって傍に居てやる。
「うん。知ってる」
答えるように、額にキスを落とした。
「約束だ」
「約束」
お返しに、頬にキスを送った。
Thanks 10,000hit. To あゆむ様.