Oleander:危険な愛



私の人生、そろそろ終わりを告げそうです。

いや、マジで。




「はあ」




山程ある宿題のプリントを抱えながら、

幾週間か前に犯してしまった、

人生最大の過ちを、は悔いていた。

あれさえなければ、

自分は、平凡な学生生活を全う出来ていた筈なのに。




「くそう。沢田め・・・」

「俺がどうかした?さん?」

「ひい!!!!」

「なっ!そっそんな怯えなくても」

「ですね。そうですね。ごめんなさい。ホントスミマセン」

「いや、良いよ。俺も急に声かけたのが悪いし」




沢田綱吉。

今日のもう1人の日直。

私にプリントを全て持たせている悪の元凶。

今の会話の裏を、聞きたいとも思わないのに、

聞こえてしまう自分がイヤだ。




「あ、そうだ」

「何でしょうか?」

「次のお昼、いつもどおり屋上ね」

「カシコマリマシタ」

「俺、今日、お茶忘れちゃってさ」

「買っていきます。紅茶でも緑茶でも煎茶でも烏龍茶でも」

「ありがと。さん」




黒い微笑を残して去っていく、

髪の毛だけが神々しいそいつ。

あいつがダメダメだなんて言い出したのは、何処の何奴だ。

ホント、自分の行動が憎い・・・・。




「・・・・ーン・・・・・・だろ!」

「(あれ?お昼休み、あそこは穴場だった筈なんだけど・・・)」

「・・・・・・い!・・・・かげん・・・・・るよ?」

「(ま、いっか。私にはどうせ関係ない)」

「今度学校来たら潰すからな?家で大人しくしてろ」

「俺に命令するとは良い度胸だ。ダメツナ」

「毎回毎回、同じ科白吐いてて飽きないの?その脳味噌は」

「うぜえぞ」

「・・・・・・・・・さわ・・・・だ?」

「・・・・・・・・・・・さん」

「え?その赤ん坊・・・は?銃って・・・今、音、何?」

「黙っててもらえる?」

「へ?」

さん、頭良いから分かるでしょ?黙るよね?」

「は・・・・・・・・・はい」




明らかに脅迫だったのは、

もうこの際、忘れてしまった方が良いのかもしれない。




「ちょっと良いかな・・・なんて思ってたのにな」




4限目終了のチャイムが鳴って数秒。

5分以内に行かないと殺されかねないので、

とりあえずはひた走る。

あるだけのお茶を抱え込んでひた走る。

屋上の扉までもう少し。




「遅い」

「あれ?隼人と武は?」

「ふ〜ん。俺にお茶渡すより先に彼奴等の心配?」

「スミマセンゴメンナサイ。そのグローブ下げて。御願い」

「で、お茶は?」

「あっと、これとこれとこれとこれと・・」




ホント、遊べば遊ぶだけ、して欲しい反応が返ってきて、

面白い事この上ない。

逃げ出そうと思えば出来た筈なのに、

いや、させないけどそんな事。

今日のお茶だって、飲みきれるわけ無い。

こんなに。

だけどは、いつだって真っ直ぐで。

羨ましいとさえ思う。

まあ、悪い風に言えば、




「莫迦?こんなに飲めるわけ無いでしょ?」

「そうですね。選んでください。持って帰ります」

「(子猫みたい。震えて・・・・ホント、可愛いったら)」

「お気に召しませんかね・・・?」

も飲んでみれば?」

「はい?てか、今、なま・・」




視界が蜂蜜色で覆われて、

気付けば、流し込まれていたのは、嗚呼、なんだろう。

紅茶だっけ煎茶だっけ。

緑茶と抹茶も買って来た筈。




?」

「ふえい」

「もうちょっとマシな返事できないの?」

「はい。なんでしょう沢・・」

「今度から沢田って言う毎にキス一回ね。3回溜まると犯すから」

「え?なっ!はあ?」

「山本君や獄寺君は呼んでるのに、俺は呼べない?」

「えと、沢田の下の名前って・・」

「1回」




また、唇を覆われる。

甘い、香り。

ミルクティーかな。

アップルティーかな。




「次はないよ?」

「つ・・なよし?」




また、空が、蜂蜜色に染まった。

お母さん、私の人生、今日、終わりを告げました。




Thanks 10,000hit. To 枢様