Tulip:愛の告白
明日の10時に家の前ね。
そんな簡潔なメールが来たのはついさっき。
ちなみに今は、メールに書いてあるところの明日5分前。
いつもながら急な誘い。
まあ、断る理由はないのだけれど。
「2ヶ月ぶり・・・かな」
いつもいつも、呼ばれず飛び出してきては、
タックルをかましてくる黒髪美人を思って、
笑みをこぼした。
「おはよう」
「うん」
「2ヶ月ぶりだね」
「そうだっけ?」
「それくらいかな」
「そっか。うん。行こう」
綺麗に晴れ渡った空。
少しばかり冷たい風に吹かれど、
握ってくる手はアタタカイ。
「今日はどうしたの?」
「別に。は着いてくればいい」
「はいはい」
強引に引っ張られて、
連れて行かれたのはショッピングモール。
確かとあるクリスマスに、
同じようなことがあったと記憶する。
「は何が欲しい?」
「イルミが買い物したいんでしょう?」
「花嫁の髪飾り、選ぼうと思って」
「イルミ」
「結婚式は明後日だからね」
「寝言は寝て言って」
いつでもそうやって、
あたしは、踏み躙ることしかできない。
愛、はまだ分かりたくなくて。
好かれているだけの今が良くて。
「ドレスは用意できてるよ」
「イルミ、冗談が過ぎる」
「冗談じゃない」
「・・・・・」
「好きだから。のこと」
「有り難う」
貴方に返せる、最高級のさよなら。
寒い中、手を繋いで、別れを口にする。
いつから数えなくなったんだっけ。
「あ、あそこのケーキ、美味しいんだよね。食べるでしょ?」
「うん」
さしもの、2人にとってのコレは儀式。
イルミが、が、距離を保っているか確かめるための、
決まり切った台詞。
会話の一つ。
「ガトーショコラ、オススメ」
「食べに来たの?」
「キルアが五月蠅いから」
「じゃあ、それにする。イルミは?」
「同じの」
「じゃ、ガトーショコラ2つとホット珈琲」
そんな貴方が大好きで。
けれど一歩は踏み出したくない。
誰ともそんな生温い関係でいたいあたしを、
好いていてくれなくても良いのにと思う。
口に融けていくガトーショコラ。
消えて無くなる想い出。
それは、一定期間でやって来る、
君からの告白と、さよならの様に。
冷めたホット珈琲が、そんな2人を嗤っている気がした。
「じゃあね」
「また」
次の好きと、さよならの日まで・・・。
Thanks 10,000hit. To 水無瀬遊様.