X'mas cactus:美しい眺め
ただそう。
一緒にいたいと、そう、思っただけだ。
「了解」
画面に映る文字に、相手には聞こえないだろう返事をする。
そして、嗤う。
「待っててね」
ぱたんっと、ノートパソコンを閉じたは、
彼からもらった手錠型のピアスを付けて、外に出た。
蜘蛛を抜けてから、の行動範囲は大変広くなったと言って良い。
とにもかくにもと家を持ち、お金を稼ぎたいと、運び屋を始めた。
表も裏も、それなりに稼いでいるつもりだった。
時折ホームに遊びに行って、じゃれて、遊ぶ。
幸せな日々。
だけど、だけど、
彼女とて、いたずらに蜘蛛にいたわけではない。
刺激的な毎日と、非日常を日常と錯覚するほどのそれは、
麻薬にも似た・・・。
見た目普通の一軒家の扉の前。
やはり血なまぐさいその扉を、は何の躊躇いもなく叩いた。
待てど暮らせど返事のないその扉の向こうに、
自分の師がいるのは分かっているので、とりあえず声を発してみる。
「フェイ」
数秒経って空いた扉からは、いつも通り、服に半分埋もれた彼が。
「早く入るね」
「うん」
つんざく様な悲鳴をBGMにその扉をくぐる。
「こいつの叫びが五月蝿過ぎて聞こえなかたよ」
「嘘吐き。気配で分かってたくせに」
「言うようになたね」
「フェイだから」
椅子に縛り付けられたそれは、今の今まで彼の道具にされてきたのだろう。
もう、何が何だか、生きているのか死んでいるのかも分からない。
「好きだねフェイタン」
「このおもしろさが分からない輩はどうかしてるよ」
「同感だけど」
「で、何の用ね。お前が此処に来るなんてめずら・・」
ザシュッという音。
遮られた台詞。
落ちたのは・・・。
「ふふふ・・・あはははははは」
これでそう、ずっと一緒にいられる。
つまらない毎日も、君がいれば、極彩色に蘇るだろう。
アジトで、足を組んで、本を読みながら考える。
いつから、だっただろうか。
多分そう、彼女が、1度壊れて、元に戻ったと錯覚した日からだ。
依頼したメール、多分そう、彼女は笑って、もうすぐ・・・。
「クロロ、来たよ」
「空いてる」
「見て、依頼されたもの、持ってきたの」
フェイタンを抱いて、にっこりと嗤って。
「でもあげたくないの。フェイはあたしとずっと一緒にいたいって言ってくれてる」
「そうか。なら仕方ないな」
「有難うクロロ。ダイスキ」
大鋸屑の詰まった大好きな人、今も、私の傍で、嗤って。
Thanks 10,000hit. To 某様.