「そういや、って首吊ったんだよな」

「うん」

「飛び降りもしたのかよ」

「助かったけどね」

「今関係のない言動は慎め」




円卓を囲んで会議中。

アイスクリームを頬張るは、我関せず。

議題はヨークシンのオークションについて。

の件で流れてしまった、本当の収集理由だ。




「今ので役割分担は決定だが、1つ気になる事がある」

「なんね」

「影獣の存在だな」

「そんなの適当にあしらっとけばいいんじゃない?」

「戦闘でいう力は心配していない。
オークションの品物を持ち運びする能力があった場合の話だ」

「私みたいなってことですよね」



「コルトピ、おかわりあったか知ってる?」

「キッチンにあると思うけど?」



「まあ、その辺は適当に対処じゃねえの?」

「計画性皆無だわ」

「馬鹿には毎回、意味なかたね」

「うっせえ!特攻ってのはなあ!」

「今回は山がでかいからな。杞憂になるかもしれんが一応だ」

「了解」




「チョコレートなかった」

「残念だったな」

「盗って来れば?」



「フィンクスの適当には一理あるが、臨機応変にという意味だ」

「大丈夫でしょ。オレが見たとこ、そういう能力はあったとしても、
こっちで対処できないほどの者じゃなかった筈だから」

「シャルナークの情報なら信用できるわ」



「この辺の美味しくない。ハーゲ●●ッツかレ●ィー●ーデンが良い」

「隣町まで行けばあるんじゃない?盗って来て上げようか?」

を甘やかすな」




そろそろ、皆様の青筋が限界のようだ。

フィンクスにいたっては、ちゃぶ台を既にひっくり返している。




「親子ごっこは別でやれ!!!気が散ってしょうがねえ!」

「だって、ボクもボノレノフも役割決まってるし」

「だから別でやれって言ってんだろ!!」

「あたしの所為?」

「いっいや・・・その・・・だな」




あの件以来、団員達はの発言にめっぽう弱くなったといって良い。

あんな体験は一度で十分だ。

クロロも黙っていないだろうし。

残念ながら、団長へ挑戦しようという酔狂な輩は、1人だけらしいので。




「嘘だよ。ゴメン。フィンクス」

「心臓に悪ぃから止めろ」

「うん」

「で、話は聞いてたのかい?」

「全然」




溜息をついた団員たち。

ボノレノフとコルトピの場合、

自分の役割を判った上で雑談に興じているのだから良いのだが。




「お前、戦闘担当ね」

「・・・・・・・・嘘」

「嘘じゃないよ★」

「ボノとアジト警護でいいよ」

「警護は1人で十分だ」

「あたし・・」

「殺せないのは知ってる」

「血もダメ。他の人の血もダメ。皆の血ならもっとダメ」




青くなっていく、血の吸えない蜘蛛。

それでも彼らは彼女が愛しくて、

使えないなんて思考、どこかに忘れてきてしまったように。




「俺と一緒にいることが多い。戦闘と言ってもほぼ皆無だ」

「ホントに?」

「嗚呼」




安心しきった、の頭を撫でるクロロの手。




「やらしい」

「顔がだめね」

「団長もそろそろ親父かあ」

「貞操の危機?」

、こっちおいで◆」

「危険度割り増しだからヤダ」

「そうかな?」

「そうです」




作戦会議はひと段落といった感じで、

其々に番茶が配られる。

湯気の立つ湯飲みをすすって、どこかの翁よろしく、息を吐けば、

何処の誰が見ても、A級犯罪者だとは思うまい。




「やっぱり、アイス買ってくる。ヒソカ、一緒に行こ」

「いいよ★」

「オレも行く」

「2人で行きたいの」

「◆」

「!!!????」

「負けたな」

「負けたか」

「負けたわね」




がーんっという石を背負って地面に埋まる団長を無視して、

2人は外へと歩き出した。

隣町と言っても直ぐ其処。

走っていけばものの10分。

けれど2人は、いや、歩いた




「何?」

「何がだい?」

「話しがあったんでしょ?」

「気付いてたのか★」

「気付いて下さいって言ったのは、ヒソカ」




気で。想いで。念で。




は止めないんだろ?ボクがする事を知っていても」

「止めて欲しいの?」

「それも面白いねvv」

「あたしには出来ない」

「そうかな?」

「何が言いたいの?」

「お願い。出来たじゃないか◆はやらないだけ★」




そうだろうと、首をかしげる奇術師が、

その時だけは、死神に見えた。




「そうだね」




誰の屍を越えて行っても、

咎を背負うのは、君だけだから。

むしろ咎なんてないのかもしれない。

こんな簡単な死というものに。