簡単だと、今も思っているはず。
競売に赴いていったメンバー。
ピクニックか、それともバーゲンか。
そんなものに行くような感覚で、行って来ますと行ってらっしゃいを交わして。
原作どおり。
知っている通りに事が運んでいる。
さしてやる事のないは、新しいパズルに興じていた。
品物がないという報告を聞き流しながら思うのは、彼の、リミット。
「話していたとおりになったわね」
「まあ、問題ないだろう」
「??」
「どうした」
「へ?」
「震えてるな。大丈夫か?」
ピースが揺れる。
嵌まらなくなる。
ダメダ。そんな事。
これ以上・・・。
「平気」
「眠っていてもいいのよ?」
「1人じゃ眠れない」
「添い寝してあげようか?」
「ううん。起きてるから良い」
時間制限。
タイムリミット。
生の終止符が打たれる。
どくん。
簡単な事だ。
そう言い聞かせてきた自分自身は、
そう思うことで生きられる自分を認めて欲しかっただけ。
どくん。
自分はそう。他人はそう?
憶測には限界がある。
察してが無理なお願い事だという事を、自分は既に知っている。
どくん。
「無理なら休んでいろ」
「大丈夫。ちょっと、行きたい」
「向こうにか」
「行ってもいい?」
「血を見ることになるぞ」
「今なら平気な気がする」
「・・・・・ダメだ。と言っても、行くんだろ」
「我侭になっていいって知っちゃったから」
「ヒソカ、着いていけ。合流までだ」
「了解★」
動きやすいパンツに履き替えて、クロノスを背負う。
靴紐を締めれば完璧だ。
判らないなら確かめに行けば良い。
死にたくないなら助ければ良い。
彼の怒りは判らない。
だって、自分にとって、やっぱり死は簡単だから。
「無理はするな」
「うん」
「落ち着けば大丈夫だよ」
「ありがと」
「気をつけていってきなさい」
「はい。行ってきます」
踏み出すのは野の原へ。
道連れに奇術師をつれて。
「どうしたんだい?急に★」
「もやもやしてるの好きじゃないから」
「答えをほしがるのは君も同じかvv」
「誰でも。そうだねって言って欲しいんだよ」
曖昧なままじゃ、不安で、
誰かに聞いて、そうだよって言ってくれれば、
責任を持たずにすむから。
あの人が言ったのだと。
自分で決めるのは怖い。
間違っているかもしれないのは怖い。
怖いけれど、いつでも逃げられるなら、やってみてもいいかもしれないと思える。
だってあたしは、死ぬってことを決められた。
「ここからは判るかい?」
「うん。ごめんね付き合わせて」
「どうせこっちに来る予定だって知ってただろ?」
「ご名答」
「それじゃあ、ボクは遊んでくるよ★」
「ん」
月が沈む。
あたしは其れを見ながら眠っていた。
一緒に眠ろうと誘う月も、
今は彼女のせなを押す一人でしかない。
「よかった。もう捕まってる」
死の匂いが充満する鉄の建物の中へ一歩。
「自己満足って凄く気持ちがいいと思わない?クロノス」
口の利けない人形を前に抱いて、
階段を一歩一歩下がっていく。
彼はもう、出た後だろう。
別れ際直ぐに、奇術師がメールを打っていたから。
「何処に繋がるんだろうね」
ゴールに描かれた答えは何だろう。
少しの期待。
オーラを辿る。
答えへの路を辿る。