「誰だおまっ・・ぐはっ!!」

「少し眠っててね」




そこにいた人を叩きのめして、

手術前の患者よろしく横たえられているウボォーに近づいた。

時計の針は、もう直ぐ明日を刺そうとしている。

みなが来るのは、もう少し後だろうか。



、何しに来たんだ?」

「聞きたくて」

「?」

「ウボォーは、死にたくない?」

「は?」

「答えて」




団長と行動を共にするはずの彼女がそこにいて、

訳のわからない質問を投げかける。

けれどいたく真剣な瞳で見つめられたら、

冗談ではないという事だけは判って。




「さあな。そうゆう状況に陥った事がねえ。
殺ってる時はスリルしか感じねえからな。湧き上がってくるのは楽しみだ」

「そっか。そうゆう状況になったら答えは出る?」

「でるんじゃねえか?」

「うん。判った」




彼の中で答えは出ている筈。

決定的な何かがないだけ。

静かに鳴り響いた電話をとって、耳に当てる。




もしもし?

「シャル?」

?!なんでそこに!?

「ちょっと、用事があって。ウボォーの鎖、外してあげてね」

は?

「別行動する。やりたい事があるから」

オレはいいけど、団長は・・

「知らない」

じゃあ!!

「いいの。あたしが決めたの」




何か言ってた気がする。

ただ、決めてしまった路を引き返す術は、知らなかったから。

電話を切って、まだ横たわったままのウボォーを見据えた。

ヒソカとクラピカの話は終わっただろうか。




「じゃあ」

「おう。気をつけろよ」

「ウボォーもね」




最期になるかもしれない別れ。

またねとは言わない。

会えるのは知っていたけれど、それは、眼にするだけだから。

は皆が来る前に其の部屋を後にして、

クラピカサイドの人間が待つ部屋へと脚を勧めた。




「貴方誰!」

「クラピカの友達。ねえ、逃げたほうが良いよ」

「?」

「ウボォーがもう直ぐ逃げるから」

「ウボォー?」

「旅団の11番。貴方なら、嘘吐いてないの判るでしょ?」

「!!??・・・・・・そうね」




そこから、皆を起こして車に乗り込むのに時間は掛からなかった。

何故なら途中で、ウボォーの雄叫びが聞こえたからだ。




「其の子誰なんだ?」

「クラピカの友達ですって。今、電話で確認するわ」




自分は、ピースの形を変えようとしている。

嵌まらなくなる。

完成しなくなるパズル。









地下に響く電話のコール音。

差し出された許可の手は、宙を美しく彷徨い、

元の位置へと戻ってゆく。




「私だ」

クラピカ、旅団の11番が逃げたわ

「自力でか?」

え?嗚呼。旅団のメンバーがコミュニティーに変装して・・

「誰と話しているのだ?」

貴方の友達ってゆう・・あ



クラピカ?

!!」

覚えててくれて嬉しい。ヒソカとの話は終わった?

「何故知っている!?」

かい?」

もうすぐだね。じゃあ、タイミングは間違ってなかったみたい

「どうゆう・・」

それも含めて話すから、えっと・・・パターン

Bよ

Bだって。待ってる




一方的に掛かってきて、

一方的に切れた、運命を変える調べ。




「何か知っていそうだな」

「教えると、ボクがに嫌われるからね★何もいえないな◆」

「彼女は何者なのだ」

「ノーコメントvv」

「それは、我々にとってマイナスの事か」

「どちらにもなるだろうね★」




執着する代わりに得られた快楽。

懐く代わりに縛らない約束。

だから、自分たちにとっても障害となり得る。




「ポーズボタンは、もう押されてるんだよ◆」

「行って見ろと言う事か」




帰ってきたのは、不敵な笑みだけ。