死体の傍で、別れを告げた。
陽が昇って、昨日で言う明日になったのは、
もう、2時間ほど前。
「帰らないとね。怒られるよね」
クラピカが掘っていた穴に、
そっと、彼を横たえて、土を被せた。
自分にとっても、彼にとっても、自分の死は簡単なものだったけれど、
自分にとっての彼の死は、とても、とても、悲しい。
「今度会ったら容赦はしない」
「うん」
「私は、なんと言われようと・・」
「判ってるよ。だってクラピカは、もう、答えを出しちゃってる」
イコールで繋がれてしまった答えを変えるのは、
容易い事ではない。
これから同じ事が起こるのだろう。
悲しいけれど、止めようとは思わない。
「そろそろ2人が捕まる頃かな」
添える花はないけれど、
伝える言葉も、供養もないけれど、
とりあえず形だけ手を合わせたは、
アジトへの帰路を辿りだした。
「まだ帰ってないのかい?」
「どっちもね」
ノブナガとゴンの腕相撲に、
予定外の決着がついて数秒。
ゴンの腕を取ったフェイタンと、
キルアにトランプを差し向けたヒソカは、
少しばかり巨大化したクロノスに、飲まれていた。
しーんっと静まり返る部屋に、
クロノスが何かをはむ音だけが虚しく響く。
「隠、覚えたんだね」
「良く出来てたでしょ?大丈夫?2人とも」
「が、なんでココに?」
「知り合い?」
「うん。友達」
「なんでがここにいんだよ!!」
「蜘蛛だから」
「なっ!!」
「でもっ!!」
「知ってるよ。今まで一緒にいたから」
「誰と?」
「別の友達」
もっちゃもっちゃと反芻されて、
吐き出された2人は、
少しばかり前に座っていた場所に逆戻り。
「何するね!!!」
「あたしの友達苛めるから」
「侵入者よ!!」
「拉致被害者の間違いでしょ?」
「クロノスは好きじゃないな★」
「ヒソカが悪い」
てくてくと歩いてくる人形を抱いて、
2人に向き直る。
どちらもとても、信じられないという眼で、こちらを見ていた。
「どうして、信じられないと思うの?」
「だって、こんな連中」
「クラピカと同じ事言うね」
「そりゃそうだろ!」
「じゃあ、2人は、クラピカやレオリオや、
お互いを、こんな輩って言われてイヤじゃないんだ?」
「全然違うよ!!」
「それはゴンにとってでしょ?勝手に価値観押し付けないで。
そうゆうの凄く嫌い」
ぴしゃりと言い放つは、まるで人が変わったようだ。
助けなければ良かったと呟いた彼女。
「機嫌悪いね◆」
「あの人達も、自分の世界しか見なかった」
「あの人達?」
「生みの親」
分かり合えないのなら、判りあわなくていい。
それが敵対とはイコールでない事、
どうして判らないのだろう。
それでなくとも、機嫌が悪いのに。
「あたしちょっと休む。ヒソカ、暇?」
「まだ1人じゃ眠れないのかい?」
「暇?」
「まあねvv」
くいっと服を引っ張って、自分の部屋へと赴いた。
頭に血が上っているときは、誰とも接しないに限る。
頭の回転がおかしくなるから。
「!!」
「何?」
「は、友達だよ・・・ね?」
「友達だよ。でも相反する側。今は」
「戦わないといけないってことかよ」
「それを2人が望むなら」
蜘蛛に敵対したままならいづれ。
「何かあったら起こしてね」
「嗚呼。思う存分寝てろ」