「大丈夫なの?」
「元々、相対量少ないし、あんまり違和感はないよ」
「そう」
絶状態になっているの手を引いて、
アジトに向かって歩く。
の胸に着いたマイナスのバッチが、寂しく光った。
「パク、お願いがあるの」
「何?」
「クラピカのこと、話さないでいてくれる?」
「どうして?」
「団長の仇とか言って、突っ込みかねない人が、数人いるから」
復讐なんて、そんな陳腐な理由で動いて欲しくない。
きっと、クロロもそう思っている筈。
・・・・・・・・・・多分。
「話すつもりはないわ」
「良かった」
「も知っているんでしょ?除念師の存在」
「うん」
「だったら平気よ」
「フィンクスとかノブナガとか、
フェイとかフェイとかフェイとか、突っかかってきそうだね」
「あら、フィンクスは下位なの?」
「フィンクスは、ああ見えて頭いいよ。快楽殺人者じゃない分」
なるほどと思ってしまった自分が、おかしくなって、噴出した。
怪訝な顔をするの頭を撫でて、
アジトの門をくぐれば、
全員が立ち上がってこちらを見据える。
「なんで絶状態なの?」
「キルア、ゴン、行こっか。クラピカが待ってる」
「どうゆうことか説明しろよ!」
「団長が帰って来れない理由は、が出発した後、私から話すわ」
「フィンクスのばあか」
「なんだとコラっ!!!」
「これからちょっと言えなくなるのかなと思って」
「は?」
ゴンとキルアの鎖を解いて、
手を繋ぐと、顔を上げぬままに扉へ向かう。
クラピカは判っていたんだろうか。
あたしが、復讐が陳腐だと思っていたこと。
大切な人を奪われる悲しみを、あたしに味合わせたかったのかもしれない。
「」
「ん。平気じゃないけど大丈夫。一生会えなくなる訳じゃないし」
「だからどういうことか聞いてるよ」
「それも、私から説明しましょうか」
「ゴメンね。お願い」
そう言うが早いか、2人の手を引いて、
もと来た路を戻り始めた。
挫けそうなココロ。
瞳から溢れる雫が、頬を伝ってアスファルトにシミを作る。
「・・・・?」
「ん?」
「大丈夫かよ」
「言ったでしょ。平気じゃないけど大丈夫だって」
「でも・・・・」
「当分はヒソカで我慢かな」
「何を」
「傍にいてくれる人」
雨が降っている。
飛行船のところに着けば、案の定、ヒソカがやって来ていて、
こそりと影武者はイルミなんだよと耳打ちすれば、
キルアが叫びだしかねなかったので、
窒息寸前まで手で口を塞いでやった。
「交換成立だね」
「成立じゃない!!お前はまた何をやってるんだ!」
「ゴメンね。言う事聞かない人形で」
「・・・・」
「愛は知りたくない。でも、クロロの傍にはいたい」
「愛ね。自意識過剰じゃないのか」
「だったらいいな」
飛んでゆく4人の飛行船を、手を振って見送って、
隣にいるクロロを見上げた。
真っ赤になってる頬に、噴出してしまったのは、
仕方がないといえるのだろうか。
「じゃ、飛行船行くよ。あれが見えなくなってもココにいたら死んじゃう」
「破滅するか」
「またいつか・・・・ね」
「嗚呼」
するりと抜けた腕。
始まる2人の会話を飛行船の中で見つめる。
イルミのところへ行こうか。
ゴン達のところへ行こうか。
いずれにしても、自分も除念師を必要とする身だ。
「★」
「うん?」
「知ってて言わなかっただろう?」
「クロロの念のこと?
でも、偽りだって話したから、次の展開で戦えるようになるんだもん」
「だったらいいよ◆これからどうするんだい?」
「GIをプレイしたいんだけど、どうしようかな。
ヒソカもプレイする事になるだろうから、一緒に行ってもいい?」
「もちろんvv」
「じゃあ、それまでイルミの家にいるからさ、メールして?」
夜景を見ながら、ふと、通り過ぎてゆくホームに、
今は皆が固まっているのだろうか。
そんなことを思うと涙が出た。
やはり、会えないのは悲しいし、淋しい。
「ボクといると良く泣くね★」
「意図してやってるわけじゃない」
「を慰めるのはボクの特権vv」
安心するんだ。
その少し硬い胸板も、
人に触れる事に慣れないその、小刻みに震えた腕で、
そっと包んでくれる、貴方のその優しさも。