旅団員がそうやって見守っている事など露知らず、

(知ったら知ったで、この話は終わりを告げるのだが・・・)

はクラピカとゴンたちのところへ到着していた。




「熱心だな。ゴン」

「でも汚い・・・・」

、それはないんじゃないのか?久し振りに会ったのだろう?」

も元気だった?」

「うん」




座れそうなところに腰をかがめて数秒、

ふと、気付いたように、ゴンがを凝視し始めた。

聞きたいことは判ってる。




「「なんで絶状態なの?」」




少しの沈黙と爆笑と苦笑が入り混じり、その大きくない部屋に反響した。

そんな大音量の奏でが、キルアに聞こえていない筈はなくて。




『どうしたんだよゴン!誰か来てんのか!?』

とクラピカ!!」

『ずりい!!オレもそっち行くから!!』

「元気だね」

「元気を通り越している気もするが・・・」




直ぐに開いた扉から駆け込んできたキルア。

無かった事にはしない。




「久し振り・・・でもないか」

「だな」

「怪我とか大丈夫?」

「べっつに。あいつ等とたいまんはった訳じゃねえし」

「それもそっか」

「で、なんでは絶なんてしてんだよ」



「それは・・・・だな」

「クラピカに負けたの」

「「は?」」

「ジャッジメントチェーンが刺さっているのだよ」

「負けたって?」

「戦ったわけじゃない。あたしが最終的に蜘蛛を選んだだけの話」

「え〜!!なんで!?」

「あたしにとっての家族は彼らだからね」




判るでしょう?

貴方達なら。




「条件は、今後一切蜘蛛のメンバーに会わないことと、念の使用禁止」

「そっか」

「何?選考会での必殺技でも教えて欲しかったの?」

「なんで知ってんだよ」

「あたしも受けようか悩んだから」

「これからどうすんの?」

「私はボスと共に離れなければならない」

「もう?」

「これでも雇われている身だからな」

は?あてが出来るまで暇なら、俺たちと修行しようぜ!!」

「止めとく。選考会ってもう直ぐでしょ?」

「まあな」

「いいや」

「じゃあ、何処行くんだよ」

「キルアの実家」

「はあ!?」




凝視したのはキルアだけじゃない。

勿論ゴンもクラピカもだ。




「また連絡するって、イルミと約束しちゃったし」

、精神科医紹介してもらえよ」

「なんで」

「兄貴と連絡取るなんて尋常じゃねえぜ?」

「そうかな」




それは、イルミの恐ろしい面を見ている貴方だから言えること。

恐ろしい面より、子供っぽい面を見ているには、

通じない論理。




「まあ、暇だしね。実際」

「そろそろ行くか」

「うん」

「あ、そうだ、携帯の番号教えてよ」

「まだ知らなかったっけ?」

携帯持ってんの!?」

「クラピカにしか教えてなかったんだっけ」




アドレスの交換をして、

念の修行頑張ってと声をかける。

次に会うのは偽りの世界。



空港でクラピカにも別れを告げたは、

そのままククルーマウンテンを目指した。

一度いったことはあるし、2トップにも面識はあるから、

顔パスだろうと踏んでいたのだが、

そうも行かないようである。




「通して、もらえなさそうですね」

「ええ。それが仕事だから」

「どうしようかな」




身体能力だけでは心もとない点が、

多々あり過ぎて困るぐらいだから、無闇に戦わない方が良いのだ。

除念師を見つける前に死んでいましたじゃ、

笑い話にもならない。

仕方なく携帯を取り出して、通話ボタンをプッシュする。




「あ、イルミ?」

『どうしたの?珍しい』

「今、中間地点?まで来てるんだけど・・」

『言ってくれれば迎えに来たのに』

「・・・・・・・早いね」

「イルミ様!!」




携帯を耳に当てたまま、眼の間に立っている長男に苦笑を漏らす。

意味のなくなった携帯の電源を切って、

頭を恭しく垂れている門番の少女に一礼。




「しばらくここにおいて欲しいの」

「やっと嫁に来る気になったんだ」

「しばらくだってば」