が旅団の元へ落ちてきて1週間。

大分と会話というものに慣れてきたようで、

今では息だけだった言葉も、

しっかりと発する事が出来るようになっていた。




「おはよう。パク」

「おはよう。ゆっくりしててもいいのよ?」

「ううん。手伝う」

「ありがとう」




手伝うといっても、朝はサラダを作って、

適当な温かいスープかウインナーか。

簡単なものだ。

この頃アジトに残っているのは、

クロロ、パクノダ、コルトピ、フェイタン、フィンクスの5人。

これでも良く残っている方だと、パクノダが教えてくれた。




「運んでくれる?」

「はあい」




テーブルに並べられたお皿から香る朝の匂い。

この世界にも大分なれた。

自分の来た経緯やら何やら、

今まで待ってくれていたクロロに説明せねばなるまい。

パクノダは皆を呼びに言った。



見慣れ始めた風景で呼吸を1つ。

未だに夜は眠れて居ないが、大抵誰かが一緒にいてくれるから、

外の空気を吸って、耳鳴りはなくなりかけている。

考える事が楽しかった頃に思考が戻っているのは、

自分にとって、とても有り難い事だった。




「おや?見慣れない顔が居るね◆」

「・・・・・・・・・(忘れてた)」




一番危ないこのピエロの存在を。




「ん〜どうして君みたいなのがココに居るのかな?」




戻らない。

映る事のない瞳で前を見据える。

だんだんと威圧感が増してきているのかもしれないが、

いかんせん。

麻痺したままの映らない身体はそのままだから。




「ヒソカ、殺気を仕舞え」

「残念★」

、お前も声を発するなりしろ」

「・・・・・・・・・あまり危険を感じなかったから」

「おいおい、こんな変態見て危険じゃないだって?お前神経大丈夫か?」

「フィンクスに言われたくない」

「なんだと?言うようになったじゃねえか」

「止めときなよ。の頭がつぶれる。フィンクスの莫迦力で」




暴れる前に食卓に着くようパクノダが静かに言った。

ヒソカはヒソカで気まぐれに戻ってきた今日だったが、

まるで面白いものを見つけたように、

始終を見つめて食事。




「クロロ」

「なんだ?」

「一応、あたしの世界の事、話しとこうと思ってるんだけど・・・」

「全員集めた方がいいのか?」

「・・・・・・好きに」

「判った。明日にしろ」

「ん」




ミルクと、サラダとロールパン1つ。

これでも食べるようになった方だ。

見つめられている事に気づいていても、興味のない人物に反応は示さない。

今だけは、そんなに感謝した。



食事を終え、いつものようにコルトピの髪の毛で遊んだ後は、

パクノダと勉強をして過ごす。

元々、知らない事を学ぶのが好きだったらしいは、

この頃素晴らしいスピードで、この世界の知識を吸収している。

クロロも目を見張るほどだ。




「先生は要らない感じね」

「ありがとう。付き合ってくれて」

「いいわ。私も楽しいから」

「そう?」

「今日はこれで終わり」

「判った。ありがと」




今ではもう、不器用でなくなった愛らしい笑顔。

たたっと走っていくのは決まってコルトピのところ。

最初に懐いた事もあってか、やはりコルトピと居る時間が一番長い。



嬉しそうに今日覚えた事を話すその姿。

明日はまた、色々と彼女の事が知れるのかと思うと嬉しい。

自分を見てくれる、初めての子。









次の日、の世界の事を知りたい奴は来い。

という命令を貰った団員全員が集まったのは言うまでもないだろう。

全員と強制をつけない命令で、全員が集まったのはこれが始めてだ。




、ほれ。土産」

「これ・・・・」

「欲しがってだろう?そのパズル」

「ありがとう。マチ」




笑うとなくなる目は、彼女の特徴。

2千ピースのパズルを抱えて嬉しそうに微笑む

そんな君の笑顔が見たいだけ。




「さて、、話せるか?」

「うん」




先ず、自分がココではないところから来た事。

自殺未遂の件と今までの生活。




「質問・・・ある?」

「どうやってきたのか判んないの?」

「首を吊って、意識を失って、起きたらココにいた」

「戻れる可能性があると思うか?」

「ないんじゃないかな。きっと向こうのあたしは死んでる」




さらりと死を発せられるのは、

死を知っているからかもしれない。




「どうして私達の名前、知ってたの?」

「・・・・・・・聞きたい?」

「そりゃあね」

「本で読んだ」

「は?」

「本で読んだ。あんまり詳しくは説明できない」

「説明したくないのか説明できないのかどっちだ」

「したくない」

「仕方ないな」




溜息をついたクロロ。

すっと立ち上がったのはフェイタンだ。

今も、彼女を認めたがらないたった1人のヒト。




「団長なぜ吐かせないか」

「話したくないんだ。仕方ないだろう」

「ワタシが吐かせるね。問題ないよ」

「ちょっとフェイタン!」

「マチ、座れ」

「でも!!」

「座れ」




眼で威圧できるのは、やはり彼だからなのだろうか。




「あたしを拷問したいの?」

「認めてないだけね」

「あたしのことキライ?」

「そういう物言いが気に入らないよ」

「じゃあ、拷問して?」

!?』

「多分あたしは、感覚が鈍りすぎて、意味無いと思うけど」

「そんなのでワタシがお前認めると思うか?」

「認めて欲しいわけでも、好きになって欲しいわけでもない。
世界中のヒトから好かれるくらいなら死んだ方がマシだと思うから」




有象無象に好かれたって・・・・。