ゲーム機の前で重大な事に気づいた

自分は今、念が使えない。

ということは練も出来ないわけで。




「どうしようかな」




とりあえず、待っていてくれているかもしれない奇術師に電話しなければ。




「あ、もしもし?」

もう着いたのかい?

「ううん。あたし、念能力使えないの忘れてた」

・・・・・・・★

「莫迦だよね」




溜息をつく声が聞こえる。

一か八か、アベンガネにかけるなら、29日まで待たなくてはならない。




「こっちでなんとかする」

でも、除念師はこの中だよ?

「知ってる。でも、行けなきゃ意味無いでしょ?」

まあね◆

「また連絡する」

気をつけてvv

「うん」




そんな莫迦をした次の日の朝、は別の番号を押していた。

待っているだけなんて、やっぱりイヤだ。




「ゴン?」

!!久し振り!!

「うん。あのね、単刀直入聞いていい?」

何?

だって!?変われよ!

誰なんだわさ

ちょっと2人とも静かに!!

「リストにアベンガネって言う人いると思うの」

なんでがリストの事?

もうこっちにいるんじゃねえの?

だから誰なんだわさ!!

「その人とコンタクト取って欲しい」

いいけど、理由は?

「教えられないじゃダメ?」

ん〜いいよ




言うと思った。

彼なら、あたしに何も聞かない。

翳った瞳に宿った光を見た日に、

自分達が、にとってどんな位置にいるのか理解したから。




「ありがとう。今度、ケーキでも作って持っていく」

ホント!?やった!

なんの約束したんだよ!!

キルアには内緒!

教えろ!!

あ、、聞こえる?

「アベンガネさん?」

なんだ・・・?




少しノイズが掛かっているが、

決して聞き取れないほどじゃない。




「能力について話したいことがあるから、
携帯教えて欲しいの。お金はいくらでも払うから。
もし、請け負えないって言うなら、切って下さい。諦める」




しばしの沈黙。

勿論、沈黙しているのはアベンガネであって、

キルアとゴンは未だに言い争っているから、

甚だしい雑音は響いてくるのだけれど。



必要最低限のことだけしか言わない。

それでも、頭の良い彼は判ってくれたのだろう。

OKと返事が返ってきたときには、本当に笑顔になれた気がする。

ゴンとの通話を切って、今度はアベンガネの方へ。




「除念をお願いしたいんです」

どのくらいの

「多分、とても強い。貴方についてるカウントダウンくらい。下手したらそれ以上」

面白い。いいだろう。何処の港で落ち合う?

「何処でも。貴方の都合のいい場所で」




ゴンには気付かれただろうか。

判らない。

けれど、後悔はしないよ。






「君が?」

「はじめまして」

「で、其の念・・・・心臓に刺さっているものか」

「ご名答。どうです?」

「精霊を出してみないことには判らないな」




ただ、面白そうで。

金も手に入ることだしと請け負った仕事。

ダイレクトで自分を指名してきた少女が気になっただけ。



詮索はしないのがこの仕事の基本。

けれど、本当に取引しか眼には言っていないに、

珍しさを覚えたのも事実。

何かしら、驚くとか、反応を示すものだから。




「普通に価値を感じないから」




淡々と語った少女は、

久し振りに戻ってきたのだろう念の感覚を確かめながら、

身体に巻きついている、かなりの大きさの精霊を見やって、




「クロノス」




人形の口の中へと足を踏み入れた。