「凄まじいな」
「そうですか?」
ぽんっという軽快な音とともに吐き出されたを見やりながら、
アベンガネは呆然と、そう発していた。
自分に未だ巻きついている、可愛いとはお世辞にも言えない精霊。
「御代、どうしましょ?」
「・・・・・・これも、外せるか?」
「無理です」
「何故だ」
「元の姿を知らないから」
「発動条件というわけか」
「ごめんなさい」
金を請求しない仕事なんて初めてだと思いながら、
御代はいらないと口にして、
早急にその場を去っていた。
元の姿は、想像出来れど、それをすれば、自分が死んでしまう。
アベンガネが見えなくなるまで見送って、
はヒソカのゲーム機へと急いだ。
指定された港がゲーム機に近い事に感謝して。
そんな時響いた、携帯の着信音。
『解いたのか・・・・』
「うん」
『そうか』
もしもしも無く、只一言。
けれど、言う必要なんてなかった。
彼には判っていたから。
「悲しくて、淋しくて、嫌だった」
『嗚呼』
「でもね、クラピカを恨めない」
『・・・・・・・・』
「だから、まだ、判っていないのかもしれない」
君が、死んだ人に、そこまで固執する理由が。
それでも、まだ、関わりを持ってくれるのでしょう?
「次はいつ会える?」
『には敵わないな』
「何が?」
『いや、良い。独りが判ったならそれで』
「?」
『そうだな。こちらが落ち着いたらまた連絡しよう』
「待ってる」
独りだというあなたを、
きっとあの3人も、待っていてくれるのだから。
過去の事を薄れさせて、そっと。
ゲーム機の前で練をして、スタート地点に降り立ったは、
携帯電話を取り出した。
「もしもしヒソカ?」
『どんな魔法を使ったんだい?』
「内緒」
『ボクもスタート地点の近くにいるんだ★すぐに行くよ◆』
「うん。待ってる」
ゴンはきっと、聞かないだろうし、
もしかしたら、天然ッぷりを発揮して、
気付かずにいてくれるのかもしれない。
けれども、キルアはそうは行かないし、
まして、一緒にいるビスケット・クルーガーは、確実に気付くだろう。
事情を知っていればの話だが。
「どうしようかな・・・・」
「あ!!!」
ぐっどたいみんぐ。
あ、ヒソカが猛スピードでUターンした。
「いつこっちに来たの!?」
「ついさっき」
「あれ?念が使えないって言ってなかった?」
「クラピカがね、もう良いって」
「そっか!!」
嘘は言ってない。
まあ、間違った方へ誘ったのは否定しないが。
キルアはまだ帰ってきていないようで、少しばかりほっとする。
「キルア、もうすぐ帰ってくるんだ」
「何処に行ってるの?」
「ハンター試験」
知っているけれど。
「そっか。きっと受かるだろうね」
「うん!も一緒に待ってようよ」
「ゴメンね。待たせてる人がいるから、行かなきゃ」
「誰?」
「内緒。すぐに判るよ」
「だったら教えてくれてもいいのに!」
「内緒」
きっと、親友は喜ぶから。
過去、戦った君ではなくて、過去、共に過ごした君を見て。
また後でと言い残したは、
ゴンの切り返しを無視して、
ヒソカの方へと駆け出した。