「久し振り・・・かな?」
「そうだね★イルミのところで何してたんだい?」
「・・・・・・・・・飼育?」
「?」
ゴン達の気配が、全くもって垂れ流れてこないところまで移動して、
2人は優雅に歩いていた。
先ほどバインダーを見せてもらえば、
懐かしき名前がずらりと並んでいたから、
蜘蛛と接触済みなのも確認した。
「これからどうしようか」
「除念師を捜すんだろう?」
「・・・・・・・・どうしようかな」
「クロロが泣くよ◆」
「知らない」
きっとだって、貴方は淋しいとは思っていないから。
決別を恐れても、
貴方達に会いたかったあたしとは違う。
「当たり前だけどね」
「何がだい?」
「こっちの話」
生きたいと、少しだけ思えてしまった。
「それより、これからどうするの?」
「適当に過ごすかな★何処かの水辺でvv」
「嗚呼。うん。お風呂には入りたいかも」
「水浴びなら出来るよ◆」
「じゃあ、連れてって」
ゴン達と遭遇するのだろうその場所へ。
大分と不快になる掛け声が聞こえてくれば、
それはとても近い証拠。
少しばかり気を張っていて疲れたは、
そのまま畔に寝転んだ。
冬真っ只中の、透き通った空が広がる。
「イルミのところで何してたか、詳しく教えてよvv」
「飼育だって」
「イルミをかい?」
「大方」
「気になるな★」
さくりと草を踏む音がして、隣に腰掛けた奇術師を見上げる。
ミニハットのヘッドドレスがつっかえて、
ちゃんと見上げる事は叶わなかったけれど。
「どうして?」
「気になるのかって?」
「そう」
「が大好きだからさ◆」
「・・・・・・・・・胡散臭い笑顔」
「酷いなvv」
ヘッドドレスがあって良かった。
君の上目遣いは、襲いたい衝動に駆られるから。
今もこの手でそっと、
さらさらの黒髪を撫でたくて仕方がないのに。
「何って、そんな特別な事はしてないよ」
「例えば?」
「ミケの・・飼い犬の散歩して死にかけたり、家中に仕掛けられた罠に嵌ったり」
口から突いて出てくる言葉は危ないものばかり。
そんな中で怪我しないでなどとのたもうたを、
ヒソカはにやりと一瞥した。
「ボクに言う前に、が怪我しそうだ★」
「そうかな」
「そう聞こえるな◆」
「でも、イルミが助けてくれたから」
の可愛らしい唇からついて出た、
友達かもしれない暗殺一家の長男の名前に、
ぴくりと口角を上げる。
面白くない。
「でもやっぱり飼育だよ。朝御飯の後に毎回ホットケーキ作ったり、
森で寝ちゃってなかなか起きないから困り果てたり、
お昼寝しないと機嫌悪くなるから添い寝したりとか?大変」
全く大変そうではない其の表情。
手の掛かる子供を微笑ましく見守るような。
今隣にいるのは自分のなのに、ちっともこっちを見やしない。
から、寝転がっているの脇に、手を差し込むと、
どこかの猫よろしく抱き上げて、
膝の上に乗せてやった。
「どうしたの?」
「ん〜★」
「ヒソカ語は理解できないけど」
「ん◆」
「1人で納得しないでよ」
ぱしぱしと腰にまわる腕を幾らか叩けど、
抜け出そうとはしないが、
ただ愛おしくて、
声を聞くだけでは足りなかった部分を埋めるかのように、
いや。
ただ、見せ付けたいが為に、巻きつく腕に力をこめた。
羨ましそうに指を銜えていればいい。
ゲーム機の前で。
山の上で。
憎たらしい2人の、
恋敵。