「やだ」

「そんなこと言わずに★」

「だって絶対痛くするでしょ」

「其の方が盛り上がるじゃないか◆」

「痛くしないならいいよ」

「ん〜ダメvv」

「じゃあヤダ」




傍から聞けば、激しく誤解されそうな会話。

水辺の畔。

上半身裸の男と、

ロンTとショートパンツの所為で、下を履いていない様に見える女が、

話していると判ればさらに。




「ヒソカ、ダメ」

「問答無用とでも言ってみるかい?」

「冗談に聞こえない」

「冗談じゃないからねえ★」

「ちょっ待っ・・」

「待たないvv」




其の言葉と共に飛んできた、複数のトランプ。

上へ飛んで逃げたは、そのまま全力疾走だ。




「いい動きだ◆」

「褒められても嬉しくない」

「いいよその眼★このままイけそうvv」

「変体、変態、ヘンタイ」

「照れるじゃないか◆」

「褒めてないんだけど」




トランプに注意しながら、時々投げられるガムとかゴムを避けて、

は湖の周りを逃げ回る。

ヒソカとのタイマンなんて、何があってもゴメンだ。

暇だ暇だと叫ぶ彼に、

それじゃあ、どこかで暇つぶし見つけて来ればと言ったのが運の尽き。




「クロノスは使わないのかい?」

「もう、こんな変体飲ませたくないから」




水面を揺らす音の源は、彼独特の含み笑い。

流石に避け切れなくなったトランプを、今度は杖で叩き落とす。




「油断大敵★」

「汚い・・・・」

「念だよ◆」

「知ってるけど・・・」




杖にべったりと貼り付いたバンジーガムを嫌そうな目で見る。

其の間に、もう一方から今度は体めがけて飛んできたガムを避けて、

引っ張られる其のままに、ヒソカの懐へ飛び込んだ。




「ゴンと同じ事するねvv」

「違うのは、念能力」

「?」

「残念でした」




心を操る神の糸(ノエシスバッチ)で、一時的にヒソカの念を消したは、

絶状態になった一瞬で、ヒソカの懐に蹴りを入れた。

湖畔の対極に降り立てば、

向こう側で、手を開閉させながら、念を確かめているヒソカの姿。




「念を消す能力かな?」

「どう思う?」

「今のだけじゃ判らないから、もう1回やってよ◆」

「絶対にイヤだ」

「ボクの能力をが知ってて、
の能力を僕が知らないなんて、不公平だと思わないのかい?」

「全く、全然、思わないよ」




また逃げる体制になった瞬間だった。

ふと過ぎる、殺気。

2人の間に流れた、心地のいい其れではなくて、

少しばかり下品で、不快になるような。




「楽しいところだったのに★」

「楽しくないです」

「イきそうだっただろ?」

「ヒソカと会話するの嫌になってきた」

「それは困るなあ◆」




トランプと杖を嫌そうに構え、

草むらから飛び出してきた男達を切り刻む。

死の淵へとご案内。

勿論2人にとったら雑魚だったのだが、

少しばかり疲れていたというのはあるのかもしれない。

ヒソカが男にトランプを命中させ、

こちらを振り向いた瞬間だった。




「・・・あっ!」




どぼんっ。




倒れていた向こう側の男の手につまずいたのか、

豪快に後ろへ転んだは、

そのまま湖の中へと転げ落ちた。

呆然と其の姿を見ながら、

水面から顔を出したに、手を伸ばす。




「何やってるんだい?」

「つまずいた」

「みたいだね★」




ざぱりと湖から引き上げて、

乾いた草の上に座らせる。

くしゅんっと可愛らしいくしゃみをするを見ながら、

男共を、見えないところまで放り投げて、

持っていたタオルを被せてやった。




「ホントに・・」




目が離せないよ。