キスが解禁されたからと言って、
別に2人の間がどうこうなるわけではない。
いや。
の気持ちがどうこうなるわけではないというのが正しい。
始終くっついて来る奇術師を適当にかわしつつ、
不安な時だけ傍にいて。
と、我儘。
我儘でない方が良かったかしらと、
少しばかり後悔すれど、
それではやはり面白くない。
思い通りに動くお人形が欲しい訳ではないのだから。
「、水浴びしていいかい?」
「終わったら呼んでね」
「殺気を飛ばしてあげるよ★」
「呼んでね」
「ボクの愛の方がイイかい?」
「呼んでね」
そう言って、背を向け歩いて行く彼女の姿にすら欲情してしまう始末。
ダメだなあ。
そう思えど、溺愛する気持ちに変わりはない。
いいじゃないか1人くらい。
執着する例外がいたとしても。
「そろそろゴン達が来る頃かなあ」
物言わぬ人形に確認する。
誰かうんと言って。
そうだと言って。
確認しないと間違っていそうで。
「あ、来た」
水辺に増えた気配の数は、予想通り。
今、かくかくしかじか話しているのだろうか。
自分はどうしようか。
色々な考えが頭を駆け巡る。
「未来を変える」
かもしれない。
怖かった。
本当に、涙が出そうで、そこから一歩も動けないくらい。
知らぬ土地に入ろうとする勇気。
踏み込んでしまえば、無鉄砲とも呼べる行動力。
「どちらにしようかな天の神様の言うとおり」
天座におわす神々は、果たしてなにを救うのか。
自分の所為ではない。
導いてくれた神様の所為だと。
そう、思い込みたいが為の、おまじない。
ぶわっと吹いた風と共に感じた殺気・・・・のようなどろどろの愛のような。
「呼んでって言ったのに」
渋々ながらも、気になるところ。
踵を返して、地面を蹴った。
「「!!」」
「ヒソカ、身体が締まってるのはもう十分すぎるくらい判ったから、
早く服を着てください」
「仕方ないなあ★」
「ヒソカと一緒にいたの?」
「うん。そう」
奇妙な者を見るような其の眼。
大嫌いだ。
「、話聞いてただろう?」
「聞こえたの」
「どっちでもいいけど、どうするんだい?」
「あたしもどっちでもイイ」
どちらにしようかな。
「ボクを愛してるなら着いてきてくれるだろ?」
「なっ!!いつの間にそんな関係になったんだよ!!」
「ヒソカは愛してるって言ってほしいの?」
「聞きたいねえ★」
天の神様の言うとおり。
「あたしが行きたいって言うの知ってたでしょ」
「どうかな?」
「嘘吐き」
「ありがと◆」
「褒めてない」
あっぷっぷのあっぷっぷの柿の種。
「うやむやな愛の言葉ほど、虚しいものはない」
鉄砲撃って、ばんばんばん。
「それでも?」
太鼓を叩いて、どんどこどん。
「要らないよ★」
「一緒に行く」
本気と遊びの、
恋の決着。