「あったかい野菜スープでも飲みな」
「ああ、どうも」
「服は洗って干してるからね」
「それは何から何まで」
「ゆっくり寝て、回復を待ちなよ」
「有り難う御座います」
「ん?」
何やら視線を感じて、
ふと、顔を上げたは、
物凄い勢いで、布団に視線を戻さなければならなかった。
目の前に寝ている患者になんか、
まったく気をとめてなかったのだが、
何故今まで気付かなかった。
肩に止まった鳩ぽっぽに。
「(超こっち見てる超こっち見てる!!)」
帰っていなくて、ほっとしている自分に驚く。
嗚呼、会いたいのか。
眩しいくらいの赤い髪。
必死に自分を変えていった日々。
いつだってあの変態が中心にいた。
「お前」
「はい?(冷静になれ俺。あれは取引先の上司だ上司)」
「其処に置いてある武器はお前のものか?」
「え?武器?」
「お前のものではないのか」
「ちょっちょっと待って」
がさごそと懐をさぐれば、
かちんとあたったナイフベルト。
ささっているのは、くないの様な針のような、
それから・・・・。
「ミホーク・・・・」
ペンダントが揺れる。
「それを俺に近づけるな。虫酸が走る」
「は?」
「とにかく近づけるな」
「はあ・・・・ってあれ?」
「なんだ」
「いえ、なんでも」
ルッチは、もしかしなくとも、俺だと分かってない。
まあ、20年強一気に年取ったからな。
それから、この太い針っぽいの、もしかして・・・・。
孫にお小遣い渡すご隠居かよ。
お金かけすぎの武器に、
溜息すら出てくる。
「(とりあえず、町を見て回らないことにはな・・・・)」
あの変態を探しに行くにしても、
此処から出るにしても。
お金と交通手段が必要だ。
そういやちょっと待て。
ルッチが此処にいるって事は・・・・。
「調子はどう?」
「気にするな」
「大人しく寝てないとダメじゃろ」
「五月蠅い」
「とりあえず食事を買ってきたぞ。よよい」
「(CP9きたぁぁぁぁ!!!)」
頭を抱えて悶絶するがいたとかいないとか。
そんななど知る由もなく、
今日も島は平和です。