「へえ。じゃあ、
めちゃくちゃちっさい頃から料理できたって事か」

「まあな」

「この船に乗ってるのは努力家ばっかりだ」

「はあ?」




ナミとロビンにジュースを送って、

皿洗いの続きをするサンジを手伝いながら、

ホントにそう思う。




「18だっけ?19?どっちにしても、
俺はそんくらいの時遊んでばっかだった」

「っ!」

「その年で何かを極めるって事は、
それ相応の努力をそれ以前にしてきたって事だろ?」




だったらやっぱり努力家だ。

そう笑った、新しいクルー、を凝視することが出来なかった。

凄いと言われたことは何度かあったのかもしれない。

けれど、そうやって褒めてくれる人はあまりいなくて。

あまりの気恥ずかしさに、

顔が朱くなっていくのが分かる。




「そっ外が騒がしいな」

「そうだな。ちょっと見てくるわ」




作業の手を止めてドアの向こうへ去って行く

慣れていないからだと言い聞かせる。

お兄ちゃん。という存在。

一緒にやってきたコック仲間は、

良い意味で、兄弟とはまた違った関係だったから。








「お前等、何やってんだ?」

「タコだ!」

「嗚呼、聞き方が悪かった。
なんでウソップがぼろぼろなんだ?」

「俺が殴った!!」

「はいはい。とりあえず服洗って来いルフィ」

「おう!!」




走り去っていくルフィを見ながら、

やっと慣れてきたとはいえ、

やはり凄いという感情を隠せない。

あの、無鉄砲が何処に向くか分からないトラブルメーカーを、

意図も容易くコントロールしてしまうこの男に。




「大丈夫かウソップ」

「慣れてる」

「青痣できてるな。湿布貼っときゃ治るだろ。
不安だったらチョッパーに薬煎じて塗って貰え?」

「おっおう」




一体どんな体験をしてきたら、

そのようなスキルが身に付くのか。

誰もが聞きたがっていることの一つだと、

確信できる。




「ルフィはの言うことだと全部聞くな!」

「そうか?」

「そうだよ。お前、一体どんな人生送ってきたら、
あのルフィに言うこと聞かせられるようになるんだ?」

「・・・・・・・・」




それが変態に育てられたからの能力だと言うことに、

気付かざるを得ない今日この頃。




「・・・・・・・・・・・・・・・・・聞くな」

「「??」」

「おい!海になんか浮かんでるぞ!!」




ゾロの一声に興味の矛先を変えて走っていく2人。

ほっと溜息をつく。

あれはあれで楽しんでいた自分がいた。

と、信じたい。




「きっとベックとか見てきた所為だろうな」




あの大きな掌。

思い出すだけで自然と顔がほころぶ。

彼はきっと今も、変わらず赤髪の隣に佇んでいるのだろう。




「ヤソップもルウも、アジールもカルヴァドスも」




あの船に乗っていれば誰だって、

舵を取ることが出来るのだ。




「シャンクス・・・・」