どうやら少しばかりトリップしていたらしい。
現実に引き戻してくれたのは、
紅い閃光弾だった。
「何拾ったんだ?」
「分からないわ」
「そうか」
「!あんたも持ち場に着く!!大時化が来るんだから!」
「了解」
この船に乗っていれば、
子供の頃は出来なかった手伝いが、
できることから嬉しい。
やはり人間、誰かの役に立ちたいものだ。
ここにベックマン他、大幹部達が揃っていれば、
大いに変態撲滅に貢献していたと、
口を揃えて言うことだろうが。
どうにか大時化を乗り越えたら、
今度は霧に包まれている。
まあ、3年とこちらにいれば、慣れるものだ。
「この船、ホントに災難続きだな」
「そうゆう縁なん・・おい!!」
「なんだ?」
「お前さっさと着替えてこい!!」
「は?」
ぽたりと顔に落ちてきた雫を払いながら、
真っ赤になって叫ぶゾロを見やる。
なんでお前等濡れてないんだ?
其れは良いとして、
全員が全員、いや、ルフィ以外が、
こちらを真っ赤になって凝視しているわけは何なのか。
「替えの服あったかな?」
「俺の貸してやる!だからさっさと行って来い!!」
「はいはい。分かった分かった。分かったから押すなって」
こうゆう体験は前にもあった。
そう、変態製造器を発動したときだ。
後、山賊に講義に行った時とか。
はてさて、小さい頃とはまた違った、
成熟しきった性が垣間見えていると知っているのは、
麦藁海賊団の青年達のみ。
自分の替えの服を持っていないので、
お言葉に甘え、ゾロのカッターシャツを借りることにした。
半袖はでかすぎる。
主に肩幅が。
びしょびしょになった上を脱ぎ、
下はまあ、大丈夫か。
カッターに手を通そうとした時だった。
ドアが物凄い勢いで開いたのは。
「!!」
「どうしたルフィ?」
「骸骨に向かって行くぞ!!」
「意味が分からん。ちょっ離せ!おいこらっ!」
上半身裸のまま、
引かれるままに着いて行く。
まったく、そんな見せて良い身体じゃないんだぞ?
此処にシャンクスがいたら、
鼻血で船が沈んでいたに違いない。
「よっしゃ行くぞ!」
「!てめえ!!」
「俺は悪くないという弁解はさせて貰えないのか?」
「ルフィ!お前は俺等と一緒に行くんだよ!」
「ええ〜〜。は〜〜〜」
「状況分かんないんだけど?」
「さっさと来い!!」
とりあえず手が離されたので、持っていたカッターシャツを羽織る。
「罪な男ね」
「ロビン、言ってる意味が・・・・・。
それより、どうゆう状況なんだ?」
「ちょっとゴーストシップに乗った動く骸骨を見付けただけよ」
「そうか。それは大変だな。主にお前等が」
「は常識人か・・・・ちげえのか・・・」
「本気で悩むなフランキー。かなり傷つく」
「それよりさっさと前・・」
「なんだ?」
ボタンを留める手を一旦置いて、
ゾロの方を見やる。
その目は自分の胸元に行っていて。
「それを、どこで・・・」
チョーカーの下に光る、ミホークの小刀。
「ミホークがくれたんだよ」
「貴方、鷹の目とも繋がりがあるの?」
「嗚呼、2週間ほど鍛えて貰ったことが」
「戦え」
「イヤだよ。負けるし。
それより、ルフィが骸骨連れて帰ってきたぞ」
この船のクルーはホント、
好奇心旺盛だな。