「ルフィ、小さい頃から、
訳の判らないものには触れるなって言ってるだろ?」
「良いんだ!仲間にするんだ!!」
「お前、毒キノコとか痺れ草とか、
見境無く食べたり触ったりして、
その度に死にそうになったの思い出してくれ。頼むから」
「そうだったか?」
「俺を心配させるなよ」
「分かった!!あ、ゴースト!!!」
「言ってる傍から!こらルフィ!!」
「ホントに保父さんね」
「その役割設定は決定済みなのか?」
ついさっき、おっさんの木とかユニコーンとか。
一緒に連れてきてるケルベロスっぽいものとか。
彼等にとって害はないのかもしれないが、
好奇心旺盛すぎるのも考え物だ。
どんどんと膝から崩れていく3人を見ながら、
言わんこっちゃない。と、の溜息が暗い森に漏れた。
「だから言っただろ?」
「おう!の言うとおりだ!!これからは戦う!!」
「だから、様子を見ると言うことを覚えろって」
ところで、俺は何でルフィに手を繋がれているのか。
これでは本当に、遊園地か動物園にやってきた父と子だ。
言ってて自分が悲しくなってくる。
「サンジ。お前もゾロからかうのその辺にしとけよ」
「お前だって笑いそうだったじゃねえか」
「なっ!!!」
「あれは本心じゃないんだろ?」
「当たり前だっっっ!!」
「ゾロは心身共に強いって知ってるから。な?」
そう笑って、ゾロの頭を撫でる。
それがなんだか羨ましいと思ってしまった自分を、
訳が判らなくなって頭を振った。
「どうかしたの?コックさん」
「なんでもないです」
「サンジ」
「なんだよ」
「お前も気を付けろよ」
子供扱いするなと、隣で叫んでいる毬藻を宥めながら、
ルフィに手を繋がれて、
自分の心配までする。
結局自分は最後なのだけれど、
彼の気にとまったことが、なんだか嬉しくて、
1人でに笑顔になっていた。
端から見たら気持ち悪いことこの上ない。
そもそものところ、
これが兄的なものに対する感情でないことに、
気付くのは一体誰が先か。
気付いた時点で、
あの赤い髪と同じ領域に足を踏み入れることになるのだが。
「うわっ!すげえ墓地だ!!」
「引っ張るな。こらっ!」
「此処で飯にしよう!」
「それは止めとかないか?
なんか作ってくれたサンジに申し訳ない」
「は?」
「サンジだって、もっと景色の綺麗なとこで食べたいよな」
「おっおう」
「!!!見ろ!!大怪我した年寄りが埋まってる!!」
「それは俗にゾンビというんだ」
「そうなのか!」
「おい、増えてきたぞ」
「無問題だろ?」
「そうね」
「、下がってろ」
「そうさせてもらうかな。能力者じゃないなら俺は不利だ」
一発でゾンビ達を吹っ飛ばす様を、
彼等の中心で見ながら、
こうあからさまに実力の差があると、
少しばかり可哀相だなと、
今はルフィに脅されている彼等に、
哀れむ視線を送ってしまう。
「彼奴等あの屋敷に向かったって!」
「分かって良かったわね」
「?なんだ?」
「いや、大きくなったなって」
「おう!!」
「首っくっしまっっ!」
「!ルフィ莫迦離せ!!」
「悪いゾロ。サンキュウな」
「いや・・・」
頭をポフポフと撫でてやれば、
飛び付いてきたルフィ。
嗚呼確か小さかった頃、
あの親父に何度も殺されかけたな・・・。
なんて。
要らぬ事を思い出してしまった。
それから、ゾロとサンジの言い争いに、
また溜息をつくまで、あともう少し。