「、なんともないか?」
「俺は大丈夫だよ。ありがとうチョッパー。お前のおかげだ」
「褒めても何も出ねえぞこの野郎!!」
「それよりゾロは?」
「うん。命は危なかったけど、今は落ち着いてる」
「そっか」
宴も、宝の山分けも、
何にも興味を示すことなく、
ただただずっとゾロについている。
それが、嫌で嫌で嫌で嫌で。
って、何考えてんだ俺はっ!
「ねえ、あの後何があったの?」
「ロビン、ごめんな。それは言えない」
もう、その瞳から、滴が落ちそうな頬笑みが、
抱きしめて、拉致りたい衝動に駆られる。
だからあいつは男だろうがよ!!
騒ぎ出した2人の首根っこ掴んで、外へと引っ張って行きながら、
背中に、あいつの、の視線を、
なぜだかひしひしと感じていた。
飯を作り終えて、
宴をしていてもずっと、ずっと。
自意識過剰かそれとも・・・。
「チョッパー、これゾロの分の酒な!」
「飲ますなよ?」
「ええ?元気になるだろ?」
「ならないから。ほら、あっちで飯食ってこい」
「も一緒だ!」
「俺はゾロについてるよ」
「ええ〜〜〜!!!がいないとい・・」
「ちょっと黙りなさい」
「ナミ?ルフィが床とお友達なってるが?」
ベックマンに殴られた赤髪よろしく、床に伸びているルフィ。
嗚呼、ナミがベン役か・・・。
なんて、あまりにもデジャブでシュールな映像に、
納得してしまったのは内緒で。
「大丈夫よ。それより、貴方なんにも食べてないでしょ?」
「容体は落ち着いてるし、行ってきていいぞ?」
「大丈夫。腹減ってないし。ありがとな2人とも」
このまま、どこかへ、行ってしまいそうだ・・・。
笑顔は元に戻っている。
なのに、泣いているように見えるのは、何故なのだろう。
「どうした?サンジ」
「っ!!」
「さっきから怖い顔しっぱなしだぞ?」
「おまっ・・マリモに着いてたんじゃなかったのかよ」
「一口だけでも胃に入れてこいって怒られてさ」
掲げるグラスに注がれた、透明で怖いぐらいに透き通った水。
「あの・・」
「頑張ったな」
ぽふぽふと撫でられた頭。
こつんっとあてられたおでこ。
たった一言だけなのに。
そう言って歩いていくを見つめて数秒。
一気に上昇していく体温。
あのまま一歩踏み込みそうになった自分。
距離を、零にしようとした自分。
「おいどうした!!」
「大丈夫かコックさん!!」
倒れて、鼻血こそ出ていないものの、
のぼせた顔は、あまりこの場にはそぐわない。
まあ、つまりは、変体への一歩を踏み出してしまったということなのだが。
「本当に自覚がないの?」
「なんの話だ?」
「つわものね」