「!こっち来て晩飯の下準備手伝ってくんねえか?」
「は俺達と一緒に海底に行くんだ!!」
「トレーニングするんだろ?着いて来いよ」
水面下の蹴り合い。
中学生のような、机の下でのつぶし合い。
と言った方が正しいかもしれない。
とにもかくにも、麦わら海賊団の三強は、
どこかと繋がっていないと気が済まないらしい。
もはやプラスマイナスの磁石状態だ。
「ルフィ」
「いやだ!!!」
「この潜水艦の定員は3人だろう?」
「ならいける!!」
「今度2人で乗ろうな」
「ロビン!ブルック!!行くぞ!!!!」
1人目。
いつ来るかわからない今度の約束。
「晩飯の用意には早いんじゃないか?」
「そうでもねえ。さっきデザートは作り終えた」
「俺、トレーニングしたいんだよね」
「ものの1時間かそこらだし・・・」
「サンジの晩飯、楽しみにして頑張るな」
「任せろ!!!」
2人目。
特別扱いと撫でられた頭。
「わるいゾロ。待たせた」
「・・・・・・・・・・・・いや」
「ナミ、そっち頼んで大丈夫か?」
「嗚呼。もうどうでもいいからいってらっしゃい」
「さんきゅ」
3人目。
選んでくれた勘違い。
甲板後方へ歩いて行く2人を見ながら、
残りのクルーたちが一斉に溜息を吐きだしたのは言うまでもない。
「自覚があるのかしら」
「ねえに一票だな」
「何の話だ?」
「チョッパーはわからなくていいのよ」
「しっかし、あれはでもまあ、分からなくもないけどな」
「ウソップ、まさかあんたもじゃないでしょうね?」
「ちがうけどよ!のフェロモンというかなんというかは半端じゃないだろ?」
「まあね」
「赤髪が関係してるのかしら?」
「その名前出した時のあいつは手、つけられなくなるから止めとけ」
一同盛大に首を上下に振る。
彼が、仲間ではないことを、3人は覚えているのだろうか。
いずれが、赤髪のところに戻った時のことを考えて、
さらに深いため息をついた。
「こんな串団子持てねえよ」
「じゃあ、腕立てとかからか?」
「100くらいなら余裕」
「100?一万の間違いだろ」
「零が2つ多いわけね。1000からしてみて良いか?」
自分に教えを乞われた時の高揚感は忘れない。
腕力が必要だから、鍛えてくれ。
なんて・・・・。
それで最近一緒にいる時間が増えた自分に向けられる、
眉毛と船長の羨望の視線すら、心地よく感じる。
って違う違う違う違う!!!!
黙々と腕立て、腹筋、背筋をこなしていく。
串団子を振りながら、
ちらりちらりと覗き見。
次第に増えて行く滴る汗。
それを拭う姿が甘美で押し倒したく・・・
「ちげえ!!!!!!!!」
「どうしたゾロ?」
「っ!・・なっなんなあなんでもねえよ!!!」
「なら良いけど。筋トレ終わったし、シャワーでも浴びるか?」
「シャワーだとっっ!!??」
「おっおう。一緒に浴びるか?」
「浴びるわけねえだろ!!!!さっさと行って来い!!」
「分かった・・・」
怪訝な顔をして去っていくの後ろ姿を、
ゾロは、たかなる鼓動なんて嘘だと言い聞かせつつ、
一緒にシャワーを浴びなかった事を少し後悔しながら、
見送った。